阪神・石井大智投手(28)が13日の広島戦(マツダ)の9回にクローザーとして登板。1イニングを1安打3奪三振無失点に封じ込め、2021年に平良海馬(西武)が樹立したプロ野球記録の39試合連続無失点に並んだ。虎が誇る右の無敵リリーバーは、来春3月に開催される第6回WBCにも出場が濃厚。伝説の20年ドラフトで〝ドンケツ指名〟された「たたき上げ男」のシンデレラストーリーはまだまだ続くことになりそうだ――。

 僅差リードの最終回のマウンドに送り込まれた石井は、中村奨とファビアンから2者連続三振を奪い、たったの7球で二死までこぎつける。小園には中前打を許したものの、次打者・末包からは3球三振。圧巻の投球でチームを2―0の勝利に導き、今季6つ目のセーブを挙げた。

 前回登板の9日のヤクルト戦(京セラ)では、藤川球児監督(45)が樹立したセ・リーグ記録の38試合連続無失点記録に並んだばかり。自身のレコードを更新した教え子に対し、「本当に誇らしい」と虎の現指揮官も賛辞を惜しまない。石井も「試合後に監督と記念写真を撮った時に、初めて実感が湧いた。素直に喜びたい」と試合後に振り返った。

 6月6日のオリックス戦(甲子園)では、右側頭部に打球が直撃するアクシデントに見舞われ、約1か月の戦線離脱を余儀なくされた。無事に一軍マウンドに復帰し、球史にその名を確かに刻んだ石井だが「僕の数字は(藤川)監督とは比較にならない」と表情を引き締める。

「(連続無失点記録は)通しでやることこそが難しい。自分は(リハビリで)時間が空いた分、肩肘の回復期間がいただけたので。監督には及ばないです」。優勝へのマジックは26。「今はただチームが勝てばいい」。どこまでも謙虚な男は、フォアザチームの姿勢を改めて強調した。

 身長は175センチと、プロとしては小柄な部類に入る石井だが、タテジマのエース格として一時代を築いた球団OBは「リリースポイントが高いオーバースローから角度をつけて投げ下ろす、ベース上での『球の強さ』が最大の武器。本質的にはパワーピッチャー」と石井のスタイルを分析。「ゾーン内で積極的に勝負を仕掛けられる投手なので国際舞台との相性もいいはず。出場が濃厚な来春のWBCではジャパンの大きな武器になるだろう。まだ28歳と若いので、実績を積み重ねればMLBでも活躍できる器」と背番号69の将来性に太鼓判を押す。

 石井は、今や虎党の間で「伝説の神ドラフト」とも呼ばれる20年のドラフト会議で佐藤輝、伊藤将、村上、中野らとともに阪神に8位入団。12球団の支配下選手では最後となる全体74位という「ドンケツ」の位置からプロとしてのキャリアをスタートし、知性と努力を武器にはい上がってきた男だ。

 今季ここまで42試合に救援登板し1勝0敗29ホールド6セーブ。防御率0・21という異次元の数字こそが何よりも雄弁に右腕の才能と将来性を物語る。海の向こうではどのような姿を見せてくれるのか――。今からその時が楽しみだ。