阪神・石井大智投手(26)が9日、ヤクルト戦(京セラ)で藤川球児監督(45)が現役時代の2006年に打ち立てたセ・リーグ記録、38試合連続無失点に並んだ。6―2とリードした9回に登板し三者凡退。記録だけではなく、しっかりチームの勝利に貢献した。

 先頭オスナを空振り三振。続く中村悠を三ゴロに打ち取ると、最後は代打・宮本を152キロの直球で見逃し三振に料理しゲームを締めた。

 入団時から目標にしてきた藤川球児投手の記録に並んだ。だが、石井は「恐縮です」と極めて謙虚。それには理由が合った。右腕は6月に頭部に打球を受け一時離脱した後、1か月ほどで一軍復帰。あるタイミングで指揮官の現役時代の記録について検索をかけた。

 06年の藤川は63試合に登板して5勝無敗、17セーブ、30ホールド、防御率0・68という驚異の成績。〝飛ぶボール〟の時代で、優勝を争った中日のウッズ(47本塁打、144打点)や福留(打率3割5分1厘、31本塁打、104打点)に真っ向勝負を挑んで、その数字を残したという事実に驚嘆した。

「(38試合の間に)47イニングと2/3を投げていますし、その当時のバッターも3割5分とか40本(本塁打)超えてるようなバッターがたくさんいたんで、時代が違えば結果が違うと思いますし。試合数だけ並ぶことができて、自分なんかがというところもありますが。次からも変わらず自分の仕事をと思っています」(石井)

 それにして、そこまで謙遜することはない。4月4日の巨人戦(東京ドーム)での失点を最後に8月9日までゼロを並べ続けてきたことは事実。さらに、西武・平良の持つ39試合連続無失点の日本記録にもあと1と迫っている。
 
 それでも「(NPBの歴史に)名前を刻みたいとか、世界に名を馳せたいとか思ってない」と、どこまでも控えめな豪腕に虎党の期待は高まる。

 記録を背負う重さを知る藤川監督は〝経験者〟とあって落ち着いていた。「本当にチームとして誇らしいことだと思います。ただ、彼もまだ道中ですから。冷静に見守っていただきたい。そっとしときましょう」と取材陣に自制を促した。そういうわけにもいかないのが現実ではあることは分かってはいるが、指揮官の親心が垣間見られた瞬間だった。

 打線では近本が4打点と活躍。4番手で登板した及川に6勝目が記録され、チームの連敗が止まった。謙虚すぎるヒーローは「できないことはできないので、100%の準備を心がけています。僕の考え方ですが、いつどういう結果になるかというのは生まれた時から決まっていると思っているので」と哲学者のようなコメントも残した。豪腕・石井のゼロの道がどこまで続くのか引き続き注目だ。