阪神が1日のヤクルト戦(神宮)で延長10回の激戦を3―2で制し、夏のロードを白星で発進した。中日が敗れたため、一夜にして消えていたマジックが「36」となって再点灯。9回に守護神・岩崎で追いつかれながら、すぐさまスワローズを突き放したタクトの裏側には、藤川球児監督(45)独特の〝メジャーイズム〟が流れていた。
ゲームのポイントは1点リードの9回。ここで虎将は迷いなく守護神・岩崎をマウンドに送り込んだ。先頭・太田を空振り三振。だが、続く古賀に中前打、長岡に四球と一死一、二塁の好機を作られ、代打・宮本に左前同点適時打を許した。普通に考えれば痛い。しかし、指揮官のビジョンは、まるで違った。
同点にされたのではなく、サヨナラ負けを防いだ。「あそこで岩崎が1点で終わってくれたから(勝利を呼び込めた)」(藤川監督)という言葉に、結果を残し続けてきた112セーブ、155ホールドを誇る左腕への配慮が込められている。
藤川監督は米大リーグ経験者。各チームの主力選手が快適な環境でプレーできる配慮を受けている事実を目の当たりにしている。逆に過去の阪神のイメージでは4番やエース、守護神のようにスターになればなるほど重圧がかかり、苦しみながら結果を求められることも体験済みだ。
7月31日の広島戦で藤川監督は栄枝捕手を叱咤(しった)するなど、これからを担う若手には期待を込めて厳しさを見せる。一方で実績を積み重ねなお、戦力として期待する〝使えるベテラン〟には過度な重圧をかけない。
延長10回は先頭・近本が左前打で出塁し、中野の犠打で一死二塁。森下は二飛に倒れたが、4番・佐藤輝の右越え決勝適時二塁打で勝利を呼び込んだ。その裏は4番手・及川が赤羽、内山、村上を三者凡退に抑え、6年目にしてプロ初セーブを挙げた。
「底力がまたチームに一つついた」(藤川監督)。最下位チームからの白星などではない。若手とベテランがかみ合っての1勝は、虎将にとって意義あるものだったに違いない。













