勝者の余裕と敗者の焦りが、真夏のマーケットを残酷に色分けしている。米スポーツ専門局「ESPN」電子版は16日(日本時間同日)、MLBの今夏トレード期限を前に「重圧を受けるフロント幹部」に焦点を当てた。2026年の期限は米東部時間8月3日午後6時(日本時間4日午前7時)。ワールドシリーズ3連覇を狙うドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長はチームがナ・リーグ西地区首位を独走状態の中、スネル、グラスノーらの復帰も見込める「勝ち組」の立場で、必要なら今夏の目玉とされているデトロイト・タイガースのタリク・スクバル投手(29)に動ける余裕すらある。勝っても負けても体制は揺らがない。まさに高みの見物だ。
対照的に、矢面に立つのがタイガースのスコット・ハリス編成本部長だ。チームはア・リーグ中地区首位から9ゲーム差、ワイルドカード圏にも6ゲーム差。プレーオフ確率は22・8%とされ、現役屈指の左腕スクバルを抱えて勝負を続けるのか、放出して大型見返りを得るのかという二択を迫られている。かつてエンゼルスが大谷翔平投手(31)を期限前に残し、オフに失った悪夢も、他球団の教訓としてちらつく。グレイバー・トーレス内野手(29)、ケーシー・マイズ投手(29)、ケンリー・ジャンセン投手(38)らも整理対象になり得るだけに、判断ひとつで再建速度が変わる。
メッツのデビッド・スターンズ編成本部長も苦しい。首位ブレーブスから14・5ゲーム差、ワイルドカード獲得へ7チーム以上を追う状況では、フレディ・ペラルタ投手(30)を売り札に来季以降をにらむ流れが現実味を帯びる。レッドソックスのクレイグ・ブレスロー編成本部長は、サム・ケネディ球団社長から信任を得たとはいえ、攻撃陣の停滞とファンの不満を背負い、買うにも売るにも「成果」が必要だ。
優勝争い組にも別の圧力がある。先発陣に故障者が続くカブスのジェド・ホイヤー編成本部長は、空振りを奪える先発投手が最優先。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは、アーロン・ジャッジ外野手(34)の復帰を待ちつつ、ブルペン刷新と右打者補強を急ぐ。フィリーズのデビッド・ドンブロウスキー編成本部長は、クリストファー・サンチェス投手(29)、ザック・ウィーラー投手(36)にスクバルを加える豪華ローテ構想まで取り沙汰される。
ジャイアンツのバスター・ポージー編成本部長は高額ベテラン勢の整理、ツインズのトム・ポーラッド・オーナーは本格再建か強行突破か、ブレーブスのアレックス・アンソポロスGMはスペンサー・ストライダー投手(27)の離脱で先発補強を迫られる。ドジャースが悠然と「買い場」を眺める裏で、各球団の幹部は夏の一手で評価も未来も左右される修羅場に突入している。












