阪神は30日の広島戦(甲子園)に5―0で快勝し、4連勝。同日に中日が敗れたことから優勝へのマジックナンバー「39」が両リーグを通じ今季初めて点灯したが、藤川球児監督(45)はどこ吹く風だった。2023年以来、2年ぶりのリーグVへカウントダウンが始まっても指揮官がM点灯を〝スルー〟する理由は、果たしてどこにあるのか。

 終わってみれば「圧勝」だった。両軍無得点で迎えた4回二死三塁から相手の暴投で先制。6回にも代打・ヘルナンデスが押し出し四球を選び、相手のミスを逃すことなく得点を重ねた。先発・村上も緩急を組み込む投球で6回5安打無失点の粘投。リリーフ陣も盤石の継投で、2夜連続の零封勝ちに導いた。

 試合後の聖地は熱気に満ちあふれていたが、指揮官はマジック点灯について問われると「全く知らなかった」とサラリ。「凡事徹底と没頭するということで、ここで止まることはない。自分たちは現場やグラウンドで精いっぱい戦っていくので、みなさま方にお任せします」と淡々と語り、浮かれた姿は一切見せなかった。

 その〝無関心〟の理由は虎将が何よりも選手のコンディションを重視し、マネジメントに全力を尽くしているからに他ならない。その藤川監督は現役時代の2007年にセ・リーグ記録となる10連投でチームを10連勝に導き、首位浮上に貢献した経験を持つ。「タフネス守護神」だった自身の選手時代を述懐しつつ「自分が現役の時は余裕だなと思ったあとに、働き場所が巡ってくることをたくさん経験した。そういうものをできるだけ分散しながら、全体でベストをつくるのが大事」(藤川監督)とも力説している。だからこそ選手の状態も確実に考慮しながら負担の分散を最優先し、タクトを振っている。

 そうした指揮官の考えのもと、前日29日には疲労を考慮してデュプランティエを抹消し、代わってビーズリーが約2か月ぶりに一軍に合流。さらには〝鯉キラー〟大竹も抹消となったが、8月11日の広島戦(マツダ)までに一軍再昇格が可能となる算段だ。全ては藤川監督ならではの「広い視野」が行き渡っている格好と言える。

 マジックの数字に一喜一憂せず、ベストメンバーで一戦必勝の姿勢を貫く。こうした地道な積み重ねこそが、2年ぶりのV奪還に向けての最短ルートとなる。