まさに灯台下暗し。虎党たちが40年近く探し続けてきた「バースの再来」は、球団所在地でもある兵庫・西宮市の出身だった――。阪神・佐藤輝明内野手(26)が5日の中日戦(バンテリン)の8回に決勝の28号逆転3ランをマーク。主砲の値千金の一撃で、藤川虎は優勝マジックを33まで減らした。チームは最速なら8月28日にも、2年ぶりとなるリーグ制覇が決定する。
規格外のパワー、飛距離、そして華。佐藤輝の怪物性を象徴するかのような一撃は、甲子園と並ぶ12球団屈指のピッチャーズパークの広さとフェンスの高さなど歯牙にもかけない。0―2と2点ビハインドの無死一、二塁でまわってきたゲーム終盤の大チャンスで、相手3番手左腕・橋本が投じた146キロ直球を真っ芯で捉えると、白球は右中間席中段まで届いた。
右翼席竜党の仰天と絶望。左翼席虎党の歓喜と熱狂。球場内に充満する巨大な感情の渦のど真ん中にいた虎の千両役者はゆっくりとダイヤモンドを一周し、自軍ベンチへ帰還。試合後のヒーローインタビューでも大喝采を浴び、充実した表情でグラウンドを後にした。
この日の活躍で28本塁打&71打点とした佐藤輝は、セ打撃主要2冠をトップで独走。打率もリーディングヒッターの中野(阪神)と7厘差の2割8分1厘と、3冠王戴冠すら射程に入れる。「今年阪神が優勝すれば、シーズンMVPは間違いなく佐藤輝。まさに数十年に一度出るか出ないかの逸材やな」と球団OBも声を弾ませる。
虎の球団史にはもうひとりだけ、1シーズンで打撃3冠と、シーズンMVPの〝計4冠〟に輝いた男がいる。「史上最強の助っ人」として、今もなおその名を語り継がれるランディ・バース氏だ。同氏は球団史上初となる日本一に輝いた1985年に打率3割5分、54本塁打、134打点という驚異的な成績で3冠王に輝くと、NPB最高の栄誉でもあるシーズンMVP選手にも選出された。
45歳の年齢差がある佐藤輝とバース氏だが、両者はともに3月13日生まれと奇妙な共通点もある。自身が正真正銘の「バースの再来」であることを証明するかのような活躍を日々、披露している令和の神様、仏様はこの日もまた一歩、神域に近づいた格好だ。
NPBでの実績を引っ提げ、早期の米球界挑戦の意向を佐藤輝はすでに表明済み。そう遠くない将来に彼がタテジマを脱ぐことになれば、虎党たちは2060年代までの向こう40年間を「サトテルの再来」探しに費やすことになるのかもしれない。













