ドジャースの最強アドバンテージが消失危機だ。13日(日本時間14日)のジャイアンツ戦(ドジャー・スタジアム)で3勝目を飾った大谷翔平投手(31)は、チームの連敗を止める立役者となった。MLBで唯一の「二刀流登録」を認められている存在は、投手を1人多く起用できる球団にとって最大の武器の一つとなっている。しかし快く思わない他球団の幹部たちが、今オフにもMLB機構へ運用枠の変更を申し入れる見通しで〝大谷特権〟も事実上消滅する可能性が浮上している。

 二刀流の価値を、改めて結果で示す登板となった。この日の大谷はマウンドでLAファンの声援をバックに7回4安打無失点、8奪三振の完璧な内容で3勝目をマークした。チームは4―0で勝利し、連敗を4でストップ。防御率0・82とし、両リーグを通じてトップに立った。3登板続けて打者としての出場を外れ、投手に専念したが、試合後には「今が一番いいと思っているし、まだまだ若いと思っているので頑張りたい」と強調。「どっちかに勝利に貢献できるポイントがある。打撃が悪くても、しっかりマウンドの方で貢献したい」と二刀流へのこだわりを口にした。

 一方、打者・大谷にも復調の兆しは出ていた。12日(同13日)の本拠地ジャイアンツ戦では、12試合、53打席ぶりとなる7号ソロ。長く打撃不振に陥っていた中で、待望の一発を放った。

 投げては球界トップ級の数字を残し、打っても再浮上のきっかけをつかむ。だからこそ、ドジャースにとって大谷の「二刀流登録」は最大級の武器となっている。大谷は純粋な投手登録ではなく、2020年に導入された「Two―Way Player(二刀流選手)」での登録。過去2シーズンのどちらかで「最低20イニング以上を投げる」「野手または指名打者で20試合以上出場し、各試合で3打席以上」を満たした選手が対象で、現実的には大谷だけがクリアできる〝特別枠〟だ。

 この二刀流登録は、8月末まで「13人」と規定される投手枠にカウントされないため、ドジャースは大谷を含めて実質14人の投手運用が可能となる。4月下旬にはカブスのクレイグ・カウンセル監督(55)が「最も奇妙なルール。たった1つのチームのために」と疑問視したことで話題となったが、一過性では終わらない可能性が出てきた。米全国紙「USA TODAY」のボブ・ナイチンゲール記者によると、各球団のGMたちは今冬、MLBに対して投手枠の制限変更を働き掛ける意向だという。大谷が二刀流選手であることで、ドジャースが不公平な優位性を得ていると考える球団の不満を収める狙いもあると伝えている。

 球団専門メディア「ドジャース・ウェイ」も「公平を期すなら球団幹部の主張にも一理ある。ピッチクロックの導入で試合のペースは劇的に加速し、投手枠に設けた厳格な制限は当初の正当性が薄れている」と報道。MLBがロースター編成のルールを全体的に緩和する形で議論は決着するだろうと見通している。

 とはいえ、ドジャースにとっては10年総額7億ドル(約1015億円=契約時)の巨費を投じて獲得した大谷の最大の利点が、相対的に失われる格好にもなる。同メディアは「大谷がエンゼルスに在籍した頃は、この件を誰も気にしていなかった」と皮肉った。大谷が二刀流の価値を示せば示すほど、その存在はライバル球団の神経を逆なでする。〝大谷特権〟を生かせるのは今季限りとなるのか。オフのルール議論も波乱含みとなりそうだ。