阪神が3日のヤクルト戦(神宮)に1―8の大敗を喫し、スイープを逃した。「4番・三塁」で先発出場した佐藤輝明内野手(26)は3打数無安打1四球と沈黙したが、27本塁打、68打点でセの打撃2冠を〝独走〟。残る打率は2割8分2厘でリーグ5位だが、2022年の村上宗隆内野手(25)以来となる「3冠王」に輝くことはできるのか。本紙評論家・伊勢孝夫氏の見解は――。

【新IDアナライザー・伊勢孝夫】佐藤輝は7月29日の広島戦(甲子園)以来となる5試合ぶりの無安打に終わってしまったわけだが、むしろ私はヤクルト2番手左腕の荘司から四球をもぎとった、8回の第4打席を評価したい。

 外角一辺倒の微妙な球の出し入れを、辛抱強く見極めた上での出塁。1厘差、1毛差を争うシーズン最終盤の首位打者争いでは、確かな選球眼が必要になってくる。通算3度の3冠王に輝いた落合博満(ロッテ)こそがその典型だ。この日で佐藤輝は、チームメートの大山と並ぶセ・トップタイのシーズン42四球。この点は3冠王獲得に向けて好材料とみる。

阪神・佐藤輝明の前で、4安打3打点と大暴れだったヤクルト・村上宗隆(右)
阪神・佐藤輝明の前で、4安打3打点と大暴れだったヤクルト・村上宗隆(右)

 とはいえ、この日の一戦に限ってみれば、22年シーズンに史上最年少で3冠王に輝いたヤクルトの主砲・村上宗隆の方が一枚上手だった。3号2ランを含む4打数4安打、3打点という結果もさることながら、左投手と対峙した際にも、右腰が最後まで開かない打撃内容が素晴らしい。5回に阪神の2番手左腕・門別が投じた低めギリギリの直球を、バックスクリーン左まで運んだ一撃は見事の一言だった。

 対して佐藤輝は、力のある左投手と対峙すると、右腰の開きがやや早くなってしまうように見える。セ・リーグには東、ケイ(ともにDeNA)、床田(広島)、松葉(中日)と好左腕も多いだけに、この点は修正が必要なポイントとして指摘しておきたい。

 名実ともに球界最強クラスのバッターとなった佐藤輝だけに、今後も対戦バッテリーのマークは厳しくなっていくだろう。とはいえ、まだまだ伸びしろが十分すぎるほどあるスケールの大きな打者。昨季までのプロ入り4年間はタイトルと無縁だったが、今季、本塁打王と打点王に加え、首位打者まで獲得できれば、自信をつけてさらに一皮むけるはずだ。

 上体の力が強く、速い変化球への対応も得意な打者だけに、将来的なメジャー挑戦も楽しみにしている。(本紙評論家)