阪神・佐藤輝明内野手(26)が8日のヤクルト戦(京セラ)で4回に両リーグ最速となる30号ソロをマークした。

 壁はあっさりと崩壊し、歴史は塗り替えられた。ニ死で迎えた第2打席。相手先発・高梨がカウント3―1から投じた甘いフォークを見逃さず、バットを一閃した瞬間にスタンドインを確信した。ゆったりとした動きで右翼席へ吸い込まれていく白球を見届け、ダイヤモンドを一周。阪神の生え抜き選手が30本塁打以上をマークしたのは、1985年の掛布雅之(40本塁打)、岡田彰布(35本塁打)以来、実に40年ぶりだ。

 本拠地・甲子園球場に設置されていたラッキーゾーンが92年に撤去されて以降、新庄剛志(2000年=28本塁打)、今岡誠(04年=28本塁打、05年=29本塁打)、大山悠輔(20年=28本塁打)ら歴代の猛虎生え抜き長距離砲たちは、何度も〝30発の壁〟にはね返され続けてきた。

 時代とともにNPB投手の平均球速や投球能力が飛躍的に向上したこともあり、ホームランバッターにとっては苦難の時代が続くが、102試合を消化した時点で30号の大台に乗せた背番号8の存在感が今季は抜群に際立つ。

 ルーキーイヤーは夏場以降にスタミナ切れを起こして大きく成績を落としたが、それも昔の話。今季は8月にここまで7戦4発とアーチ量産態勢に突入中だ。球界関係者も「長期ロード中の阪神は東京ドーム、神宮、横浜など本塁打が出やすいビジター球場での戦いが続く。好調を持続する佐藤輝の本塁打は今後も増えていくだろう。最終的には40~45発のラインまで届くのでは」との予測を立てる。

 延長12回までもつれ込んだ試合は、5番手・湯浅らの誤算も響いて1―3の逆転負け。佐藤輝は「30本は一つの目標だったので、うれしいです」と語ったが、それ以上にチームを勝利に導けなかった悔しさが表情からにじみ出た。

 優勝マジックは「31」のまま。今いる場所は、あくまでも通過点にすぎない。