阪神は7月31日の広島戦(甲子園)に3―6で敗れ連勝は4でストップ。同30日に点灯したばかりの優勝マジックは一夜にして消滅した。先発の伊原が4回5安打3四死球4失点と精彩を欠き、4敗目を喫した。

 2位・巨人も敗れたためゲーム差11は変わらず。貯金数も「21」と十分すぎるほど余裕はある。それでも試合後の藤川球児監督(45)は険しい表情で、不本意な姿をグラウンドで見せてしまった一部の選手たちに苦言を呈し、チームを引き締めた。

 指揮官の表情が最も厳しくなったのはこの日、4月3日のDeNA戦(京セラ)以来、今季2度目となるスタメン機会を与えられた大卒5年目の栄枝裕貴捕手(27)について話題が及んだ時だ。「上手に伊原を引っ張ることができなかった」と試合後に栄枝本人が悔やんだように、インサイドワークは低調。打撃面でも4回一死三塁の好機で空振り三振に倒れるなど攻守に精彩を欠く内容となってしまった。

「戦うというところで前向きになっていないように見えた。グラウンドが勝負する場だということを突き詰めていかなければならない。マジメなところもある選手ですが、歯がゆかった」と藤川監督は失望感を隠せない。

 坂本、梅野という実績豊富な2人の捕手を揃える阪神だけに、栄枝は「第3捕手」という立ち位置。藤川政権において、ゲームで一瞬でも気持ちの緩みを見せてしまった一、二軍当落線上の選手たちは、ここまで何度も容赦なくファームに落とされてきたが、栄枝は開幕から一度も下に落とされることなく一軍に身を置き続けている。

 貴重な一軍枠を使ってでも栄枝を本隊に置き続けてきた理由を、藤川監督は「一軍のベンチに座っていないと、学べないことも多いので」と過去に説明。ウエスタン・リーグではDH制が採用されているが、投手が打席に入るセ・リーグの野球は、試合の流れの読み方や、相手打線の断ち切り方などで独特のノウハウが必要となる。

 育成と勝利を両てんびんにかけながら、栄枝の成長に心を砕いてきた藤川監督だけに「戦う気持ちがグラウンドで出せていれば、それは明らかに見て分かるので」と終始、語気を強くしていた。