東京五輪の女子マラソン代表・鈴木亜由子(31=日本郵政グループ)を指導する高橋昌彦監督(58)は、ある特別な思いを抱いている。

 幼い頃から天才少女として注目を集め、地元のテレビ番組で特集されてきた鈴木を初めて見たのは、2006年の愛知駅伝。その才能に惚れ込んだのが縁だった。14年からは日本郵政グループで監督と選手という立場になり、さまざまな面でサポート。16年リオデジャネイロ五輪はトラックで、21年東京五輪はマラソンで大舞台出場に導いた。

 度重なるケガに苦しみながらも、世界トップレベルで戦ってきた。高橋監督は「小さいときから注目された中で、この子が活躍することで夢を届けてほしい」と切り出した上で「子供たちは頑張ったら五輪に出れるような思いを持つと思うが、それがうまくいかないことが多い。でも(鈴木は)数少ない夢を届けられるランナー」ときっぱり。鈴木だからこそ、伝えられるモノがあると確信している。

 そんな鈴木は昨年9月のベルリン・マラソンに続き、12日の名古屋ウィメンズマラソンでも自己ベストを更新。2時間21分52秒をマークし、日本人トップの2位に入った。「練習は9割5分の苦しいけど、それを一瞬で吹き飛ばす達成感、充実感がある」と醍醐味を語りつつ「監督がおっしゃっていたことだが、苦しいのを楽しいと思えたらもう一歩いけると。9割5分の苦しい中でも、そういった思いでやっている」と決意を新たにした。

 進化に年齢は関係なし。己を磨き、夢と希望を陸上界に発信する。