世界との差を埋めるポイントとは――。陸上の名古屋ウィメンズマラソン(バンテリンドーム発着)が12日に行われ、東京五輪代表の鈴木亜由子(31=日本郵政グループ)が自己ベストの2時間21分52秒をマーク。日本人トップの2位に入った。2004年アテネ五輪女子マラソン金メダルの野口みずき氏(44)が、レースから見えた鈴木の収穫と課題を指摘した。

 鈴木は地元・愛知で沿道からの大声援を背に、序盤から日本人トップを争う2位集団でレースを展開。ペースメーカーが外れた後半にギアを切り替えた。「試走をしていて30キロで出たいと思っていた」。前田穂南らライバルを引き離し、笑顔でゴールテープを切った。昨年9月のベルリン・マラソンでマークした2時間22分2秒の自己ベストを更新した。

 ケガなどの影響もあり19位に沈んだ東京五輪後は思うように練習を積めない時期もあったが、2レース連続で好走。現地観戦の野口氏は「前回ベストを出したベルリンはコースがフラットだった。でも、このコースで2時間21分台のベストを出せた。秋からの短い間隔のレースで自己ベストを出せたのは、力がまたさらに上がった証拠。東京五輪の悔しさなども力に変えてきたのでは」と高評価だ。

 その一方で世界との差は明らか。優勝したルース・チェプンゲティッチ(ケニア)は、序盤から2位以下に大差をつけ、2時間18分8秒で大会2連覇を達成した。野口氏は「五輪で戦うには記録だけではないが…」と前置きした上で「昔は記録=実力ではなかったけど、今は変わってきた。最近はアフリカ勢も五輪であろうが、どんな大会でも、どんどん攻めている」。鈴木を含め、各選手の記録の底上げが必要との見方を示した。

 鈴木も現状は理解している。前半のラップを上げる重要性を口にしつつ「2時間20分切りを目指して、まだまだ自分の可能性を信じて挑戦していきたい」。かねて野口氏は〝向上心〟を鈴木の長所に挙げていた。「自己ベストは出せても『ちょっとやっぱり悔しいです』と言っていた。これで満足しないところが、さらに鈴木選手を強くさせていくと思う」。マラソンでの2大会連続五輪出場へ、さらなる高みへと進んでいく。