韋駄天が日の丸の重みを背負い、一瞬にかける。今春開催のWBCで日本代表に内定しているソフトバンク・周東佑京内野手(26)。メジャー組の大谷(エンゼルス)、ダルビッシュ(パドレス)らも参加し「史上最強」の呼び声高い侍ジャパンでは、代走の切り札として快足発動が期待される。名誉の代表招集に「自分の役割はイメージできている。世界一のためにストロングポイントをここぞの場面で発揮したい」と腕をぶす。

 すでに腹は決まった。「日本もそうですが、ライバル国もすごいメンバー。そういう大会に出場できる喜び、名誉を感じています」。世界最高峰の戦いに武者震いが止まらない。2019年プレミア12の盗塁王で、20年には13試合連続盗塁の世界記録を樹立。昨秋の強化試合では、栗山英樹監督(61)とWBCでの戦いをイメージして、密にコミュニケーションを図った。昨年暮れには、代表指揮官から直接電話をもらい「クリスマスプレゼントになるかは分からないが、ぜひ代表に力を貸してくれ」と内定通知を受け取った。

「名誉」の選出の一方で「代償」も伴う。勝負所での代走としての起用がメインとみられ、2月中旬からの代表本隊合流後の強化試合や本大会での出場機会は限られる。シーズン開幕前の実戦での打席数確保は極端に少なくなるはずだ。「もちろん考えるところもありましたし、そこは覚悟もしています。ただ、それよりも今後の野球人生において、かけがえのない経験が積める大会。必要とされる所で、日本が世界一になるために自分の力を最大限出し切りたい」。このオフ大型補強を敢行したソフトバンクでは、宮崎キャンプ、オープン戦と激しいレギュラー争いが繰り広げられる。ポジションを確立していない周東にとっては、この先のキャリア形成を考える上でも、覚悟を迫られる選択だった。

 WBCでは背番号9を背負うことが有力だ。「万全で行かなければ、使う方(代表)に制約や迷惑がかかる」と、私欲を捨てて出場を辞退した尊敬する先輩・柳田悠岐外野手(34)の番号。思いを託され、それに応えるつもりだ。栗山ジャパンの重要ピースとして、韋駄天が世界を震撼させる。