ドル箱大会の放映権争奪戦は、もう始まっている。英国を拠点とする世界的なスポーツ業界メディア「SportsPro(スポーツプロ)」は、次回の第7回WBCの放映権がMLBの次期大型契約に〝抱き合わせ〟で組み込まれる方向だと報じた。独立商品として売られてきたWBCが、ここにきてMLB本体の「交渉カード」へ格上げされる。今春の第6回大会で視聴者数を激増させたからこそ飛び出した新局面で、早くも次回大会を巡る水面下の争奪戦に火がついた格好だ。

 発端は米スポーツメディア「Sports Media Watch(スポーツ・メディア・ウォッチ)」がつかんだ情報だった。報道によれば、MLBは2028年に切れる次期メディア権交渉の中で、次回WBCの権利も一緒にセットで扱う構え。これまでWBCは別建てで売られてきたが、26年大会が米国内で記録級の数字をたたき出したことで話は変わった。

 ベネズエラが米国を3―2で破った3月17日(日本時間3月18日)の決勝戦はFOXとFox Deportesで放送され、全米平均1078万人を記録。大会全体でもFOX、FS1、FS2を通じた平均視聴者数は129万人で、前回比156%増だった。もはや「野球の春興行」ではなく、放送局や配信大手が本腰を入れて奪い合う目玉商品へ変貌した。

 その価値をさらに押し上げたのが日本市場だ。日本国内での独占放映権を取得したNetflixは、今年のWBC全47試合を配信し、延べ3140万人が視聴。日本―オーストラリア戦は1790万人を記録し、日本のNetflix単一タイトルとして過去最大の視聴になった。地上波で見られないことへの反発は確かにあったが、ふたを開ければ数字は圧倒的で「配信では広がらない」といった不安論を実績で押し返した。

 8日(同9日)に米スポーツトーク番組『The Dan Patrick Show』に出演したMLBコミッショナー、ロブ・マンフレッド氏(67)は、WBC決勝に多くの〝放送パートナー〟が集まったことを明かした上で「今後の全米向け放送契約の重要な一部になる」との認識を示した。

 ただし条件は、開催間隔の固定化だ。次回の第7回大会が29年なのか30年なのかは、なお未定。そこが固まれば、WBCは単独大会の枠を超え、MLB全体の価値を押し上げる〝札束を呼ぶ国際商品〟として、本格的な争奪戦に突入することになる。