マネするのはいいが…。ドジャース・大谷翔平投手(31)の活躍が世界の野球界に夢を届けている。4日(日本時間5日)時点で防御率0・74、6勝(2敗)、打率3割1厘、10本塁打と漫画のような二刀流でMLBを席巻し、実力は投打ともに超一流。誰もが一度は憧れて当然だが、そこには「甘いワナ」も潜んでおり、アマチュア球界から注意報も発令されている。
投げては100マイル(約161キロ)を超え、打っては球場外にまで飛んでいく特大アーチ。日本で生まれた二刀流の申し子が世界屈指のプレーヤーが集まるMLBでトップを極め、今や誰からも認められる超一流選手となった。
大谷の存在は少年少女たちが野球を始めるきっかけとなり、プロやアマチュア選手は少しでも近づきたいと思わせるお手本。実際、日本の高校や大学のアマチュア球界を視察するNPBやMLBのスカウトたちは、大谷の打撃の構えやフォームに似た選手が、特に左打者で「増えている」と口をそろえる。
もちろん、模倣すること自体が問題ではない。生きた教材がプレーしている姿をリアルタイムで見られることはまたとない機会だ。ただ、スカウトたちは大谷から影響を受けることは好意的に受け止めつつも「情報で得た見たままを自分に取り入れることは、あまりおすすめしないね」と注意も呼びかけた。
現代は情報化が進み、選手たちはプロやアマチュアを問わず、所属チームのコーチの教えだけでなく、インターネットや動画サイトなどでも技術を知ることができる。しかし、そこには“落とし穴”もあるというのがスカウトたちの見立てだ。
「自分に落とし込む作業の中で、気づいておかないといけないことに、気づいていない選手が多い」
大谷は2013年から日本ハムでプロのキャリアをスタートさせ、紆余曲折を経て現在の形にたどり着いた。進化の過程では肉体改造による筋力アップ、スイングスピードの向上など、自分の体と能力をすり合わせながらフォームも変化していった。
だからこそ、スカウトの一人は「大谷が19歳や20歳の時に今のような形で打っていたか? 脚の上げ方だけを取っても違う。要はスイングは見ただけではつくり上げられないということ。当然、反復して体に覚え込ませないといけないし、スイング動作自体が上半身、下半身の連動が必要なもの。再現性を高めるためには体も強化しないと」と声を大にした。
将来を嘱望される有望選手はアマチュア界にも数多くいる。名門校に在学しながらプレーする有望株の中には「大谷にそっくり」とささやかれる選手も登場。オープンスタンスで左脇を締めず、左ヒジを高い位置に置いて右足はヒールアップ。まさに大谷を“完コピ”したかのようなアプローチでタイミングを取る選手も現れた。しかし、チームの期待とは裏腹に成績を落とし、最終的にスタメンからも外れるケースも起きてしまっている。
大谷が現在のフォームとなった背景にはそれぞれ裏打ちされた理由があり、体格も筋力も異なる選手が取り入れる場合は、もともと持っていた個性や長所が失われるリスクを伴うケースもある。ローマならぬ「大谷は一日にして成らず」。次代の大谷を目指す選手たちは、表面的な“誘惑”に負けない力も求められる。












