祝福の舞台となるはずのホワイトハウスが「ドジャーブルー」の街を賛否両論で〝分断〟しようとしている。昨年のワールドシリーズを制して2連覇を成し遂げたドジャースが23日(日本時間24日)、ワシントンのホワイトハウスを訪れ、米国のドナルド・トランプ大統領と対面する。当初は4月に予定されながら日程上の都合で延期され、フィリーズ、メッツとの東海岸遠征の合間に再設定された。歴代王者が大統領の招待を受ける恒例行事だが、今回は祝賀一色とはほど遠いようだ。

 英老舗有力紙「ガーディアン」は22日(同23日)にドジャースのホワイトハウス訪問に焦点を当て「トランプはこの街を引き裂いている」との見出しで、ロサンゼルスのファンが抱える葛藤を特集した。人口の約半数をラテン系が占める同市では、トランプ政権による移民摘発の強化や、抗議活動への対応として州兵、海兵隊を投入したことへの反発が拡大。地域社会の象徴とされてきたドジャースが、その政権を率いる大統領と笑顔で並ぶことに「街の分断を深めかねない」との懸念が噴き出していると報じている。

 同紙が紹介したグアテマラ系の男性ファンは、約30年間米国で暮らした父親が拘束され、強制送還されたことで「球団への思いが揺らいだ」と証言した。市内のサッカークラブが移民家族への連帯を表明する一方、ドジャースの対応は遅れたとの不満も根強い。球団はその後、地域団体への寄付を約束し、オーナー側も移民収容施設を運営する企業の保有株を売却したが、「もっと明確な姿勢を示せるはずだ」との声は収まっていない。球団は同紙の取材にコメントを控えた。

 ロバーツ監督は自身は政治家ではなく指導者だとして、出欠は選手個々の判断と説明。その上で「優勝を目指す以上、毎年招待を受けたい」との考えを示した。一方、キケ・ヘルナンデスはリハビリ中で帯同せず、故障がなくチームに同行していたとしても参加しなかった可能性を口にした。ベッツも、貴重な休日を家族と過ごすとして欠席する。

 米国とイランの戦争が続き、国内外でトランプ政権への評価が鋭く割れる時期だけに、訪問の政治的な意味合いは避けにくい。ただ、英ガーディアン紙が伝えた地域の宗教・市民団体関係者の中には全面的なボイコットではなく、ホワイトハウスでロサンゼルスの多様性や球団の価値観を示す機会にすべきだとの意見もある。

 慣例を守ることが融和につながるのか、それとも亀裂を広げるのか。英国を代表する有力紙が突きつけた問いは、野球と政治の境界を超え、ドジャースが「誰のための球団なのか」を改めて問う波紋へと発展している。