球速低下の不安は、ポップなBGMとともに吹き飛びつつある。ナ・リーグ西地区首位を走るドジャースで、佐々木朗希投手(24)の復調ムードが一気に強まっている。チームは4日(5日)の敵地ダイヤモンドバックス戦に2―3でサヨナラ負けを喫したが、首位の座は堅持。対戦した同地区2位・ダイヤモンドバックスとは6・5ゲーム差だ。

 その一方で米紙「カリフォルニア・ポスト」は、5日(同6日)の本拠地エンゼルス戦で先発予定となっている佐々木の球速復活の舞台裏を特集した。今季序盤はフォーシームが96~97マイル(約154~156キロ)台に落ち、制球面も不安視されていたが、直近で一変。前回登板の5月30日(同31日)の本拠地フィリーズ戦では5回1/3を3安打1失点、1四球7奪三振。最速100・4マイル(約161・6キロ)を計測し、平均球速も今季最高の98・5マイル(約158・5キロ)まで戻した。

 鍵を握ったのは、バッテリーを組む捕手ではなく、ストレングス&コンディショニングコーチとしてフィジカル強化を担当するトラビス・スミスコーチだった。同紙によれば、スミスは佐々木のために下半身強化、肩の安定性、段階的な負荷管理を組み込んだ個別プログラムを設計。公称187ポンド(約85キロ)の体は現在205ポンド(約93キロ)前後まで厚みを増したという。ロバーツ監督も「見た目からして体が大きくなった」と変化を認めている。

 その肉体改造に、意外な味付けを加えたのが音楽だった。大音量を好まない佐々木に合わせ、スミスは練習ごとにプレイリストを用意。大谷翔平投手(31)や山本由伸投手(27)から教わった日本のポップスに加え、ジャスティン・ビーバーも流したという。100マイル復活の裏に〝ビーバー効果〟まであったとなれば、誰もが興味深い。

 佐々木は4月25日(同26日)以降の6先発で防御率3・78、33回1/3で33奪三振、7四球と内容を整えてきた。今季通算は10先発で3勝3敗、防御率4・59ながら、5月17日(同18日)のエンゼルス戦では7回1失点8奪三振と快投。ロバーツ監督も「優勝を狙うチームの本物のメジャー先発投手という新しいカテゴリーに入ってきた」と評価した。

 首位を独走態勢に持ち込みつつあるドジャースにとって、佐々木の100マイル復活は単なる話題ではない。秋へ向けた投手王国の再点火である。