大敗のマウンドが、トロントでの「別れの舞台」になる可能性まで浮上した。ブルージェイズのケビン・ガウスマン投手(35)が、トレード放出の可能性を自ら意識する異例の言葉を残した。21日(日本時間22日)、本拠地ロジャーズ・センターで行われたレイズ戦に先発し、3回3分の1を9安打5失点(自責4)、2四球、1奪三振。チームも2―12で大敗した。今季4勝9敗、防御率4・51となった右腕にとって、結果だけを見れば買い手への強烈なアピールとはならなかった。
それでも、今オフにFAとなるガウスマンは、8月3日(同4日)のトレード期限を前に注目すべき先発投手の一人に浮上している。2021年12月にトロントと5年契約を結び、加入後は通算52勝50敗、防御率3・60、910奪三振。今季は本来の安定感を欠いているものの、長年ローテーションを担ってきた実績と豊富な経験があり、環境が変わればポストシーズン進出を争う球団で戦力になると判断されても不思議ではない。
カナダの通信社「カナディアン・プレス」によると、ガウスマンはこの日の登板がブルージェイズの本拠地で最後になった可能性を問われ、「いい置き土産にはならなかった」と自嘲気味に口にした。その上で「今は考え過ぎないようにしている。自分は今、ブルージェイズの一員であり、このチーム、このロッカールーム、仲間たちに集中している」と強調しながらも、「でも、それを考えると確かにクレージーだ」と胸中を明かした。
否定一辺倒ではなく、去就を巡る現実を受け止めていることがにじむコメントだった。「今はソーシャルメディアがあるので無視するのは不可能だ。みんな、何が起きているかはある程度分かっている」とも話し、球団が「売り手」に回る空気を選手側も感じ取っていると認めた。
ブルージェイズは46勝55敗でア・リーグ東地区最下位。ワイルドカード圏まで6ゲーム差で、昨季のワールドシリーズ第7戦進出から一転し、主力を売る側へ傾きつつある。救援投手や控え選手の放出とは異なり、長く先発陣を支えてきたガウスマンを手放す決断は、球団にとって今季の白旗を掲げるに等しい意味を持つ。
ガウスマンの次回登板は26日(同27日)の敵地レッドソックス戦が有力で、その次は8月1日(同2日)の本拠地カージナルス戦となる見込み。ただし、それまでに交換要員がまとまれば、故障や価値低下を避けるため登板を回避させる可能性もある。最大8球団に対する限定的なトレード拒否権も持つだけに、移籍先選びには本人の意向も影響しそうだ。
背信投球を演じた夜に、図らずもにじませた「最後かもしれない」という覚悟。ブルージェイズが実績十分の右腕を手放すのか、それとも今後も投手陣の柱として引き留めるのか。ガウスマンの一投一投が、トレード市場の思惑と直結する局面に入った。












