10日に甲子園球場で行われた阪神・藤川球児の引退セレモニーの「ラストピッチング」で藤川の投じたボールを受け取った矢野監督が、指揮官として、かつての女房役として火の玉守護神へのあふれ出る思いを語った。

 目は涙で真っ赤に充血し、語尾は最後まで震えたままだった。生きながら伝説となった「火の玉ストレート」を誰よりも捕手として受け続けた虎将は「俺が勝手に思ってることだけど」と前置きした上で「俺の引退試合は(当時守護神だった)球児が打たれちゃって(自分に)出番がなかったからね。そういうこともあって(ラストピッチングは)球児が『俺に捕ってもらいたい』と思ってやってくれたのかもしれない。それがうれしかった」。

 久々に受ける藤川のボールは「キャッチャーミットに気持ちよく入ってきた。皆さんの思いも込められた、すごく気持ちのいい感触だった」と振り返った矢野監督。「藤川が味方でいてくれたことが、どれだけ心強かったか。監督になって改めて『すごいピッチャーなんだな』と思った。9連投とかね。ちょっとありえないよね。今、俺が監督として(中継ぎ陣に)3連投させるだけで負担かけてるなって思うのに」と背番号22に最大限の敬意を払った。

「球児のストレートを誰よりも多く受けられたのは俺の自慢。打席に立って藤川のストレートを見ることができなかったのは悔いが残るかな(笑い)。全身全霊でタイガースのためにやってくれた。感謝の気持ちしかない」。火の玉右腕をたたえる言葉はいつまでも途切れることがなかった。