【全仏オープンに挑むスターの現状(1)】テニスの4大大会、全仏オープン(パリ)が22日に開幕する。クレー(赤土)コート最高峰の戦いに出場する男女V候補3選手にスポットを当てた連載をお届けする。第1回はクレーが苦手な女子世界ランキング38位の大坂なおみ(24)だ。〝鬼門〟の舞台でどんなパフォーマンスを見せるか。DAZNテニス中継の解説者・佐藤武文氏に注目ポイントを聞いた。
ちょうど1年前、大坂は全仏オープン直前に記者会見拒否を表明。罰金を覚悟してまで義務付けられた会見に出ない決断を下したのは「選手のメンタルヘルスが無視されている」という問題提起だった。その後、長い間「うつ状態」にあったことも告白し、大会を途中棄権。この騒動はテニス界のみならずスポーツ界に大きな影響を与えた。
あれから1年が経過し、大坂は心身共にリフレッシュ。すでに全豪、全米を2回ずつ制しているため今大会Vなら生涯グランドスラム王手となるが、佐藤氏は「いまや彼女はコート上のプレーだけでなく、その言動や生き方が注目されている。もっと俯瞰(ふかん)して、一人の女性として『次はどんな行動を起こすか』を楽しみにしています」と関心を寄せる。
2020年秋の全米オープンでは人種差別への抗議として、1回戦から決勝まで黒人被害者の名前入りマスクを着用して優勝。前例のない行動に賛否が飛び交ったが、その後も社会問題について積極的に発言してきた。先ごろはスポーツマネジメント会社IMGを離れ、代理人のスチュアート・ドゥグッド氏と共同でアスリート支援のマネジメント企業を設立。今後もスポーツ選手の〝代弁者〟として活動する意向を明かしている。
「今、彼女がやっていることは数十年後に人々に理解され、評価されるような巨大なスケール。優勝回数やランキングとは次元が違う。歴史を動かすかもしれません」(佐藤氏)
一方、プレーヤーとしてはどうか。クレーシーズン初戦のマドリード・オープン1回戦後に痛めた左アキレス腱が完治せず、前哨戦のイタリア国際(ローマ)も棄権。やや不安が残るが、全仏オープンへ向けて好材料もある。
「クレーは得意のサーブの威力は落ちるけど、ボールが高くはねるので高い打点を強打するストロークで勝負できる。苦手なコートですが、裏を返せば強打を生かせると思います」(佐藤氏)
見る側を飽きさせない〝大坂劇場〟。果たして今回はどんなドラマを見せてくれるのか。












