ついにここまでたどり着いた。2015年を最後に2桁勝利から遠ざかり、最近2年で1勝と低迷していた阪神・藤浪晋太郎投手(26)が8日までにプロ初となる開幕投手に指名された。今月26日に神宮球場で迎え撃つヤクルト関係者は「相手に不足なし」と大歓迎で〝ご褒美〟まで用意するという。昨季11勝で2年連続の大役を狙った西勇輝投手(30)は2カード目の広島戦(マツダ)に回る見込み。


 プロ9年目で初めて大役を任されることなった藤浪は〝今年こそ〟と近年の不振脱却をかけてきた。過去2年でわずか1勝に終わった悔しさをバネに、今年はキャンプから先発ローテ返り咲きに向けて猛アピール。2月の実戦登板3試合では計8イニングを6安打1失点、防御率1・13と見事な数字でキャンプを打ち上げた。3月5日のオープン戦初登板でも好調をキープ。昨年まで4年連続日本一のソフトバンク打線を相手に4回3安打無失点に封じるなど、日に日に指揮官の信頼を得ていった。

 矢野監督は抜擢へ至った経緯を「総合的に判断して」と話すにとどめたが、対戦相手のヤクルト関係者は「えっ! マジ!?」と驚きを隠せない様子。その一方で「相手にとって不足なし」とばかりに、神宮球場に乗り込んで来る藤浪に対し、歓迎の意味も込めた〝挑発メッセージ〟まで発せられている。

「6試合あるセ・パの開幕カードのうち、これで神宮の試合により多くの注目が集まることになりそう。それはそれで大歓迎。ま、勝つのはヤクルトですが(笑)。万が一にも藤浪君が勝ち投手になったら、マイクパフォーマンスでも何でもやってもらって結構です!」

 ビジターファンも多く集まることで知られる神宮球場では、ホームのヤクルトが勝利した場合だけでなく、ビジター球団が勝った際のヒーローインタビューもテレビ中継用音声だけでなく、場内にも流れるようになっている。藤浪も昨年8月21日に692日ぶりとなる勝利を飾ってヒーローインタビューに臨んだ際は、自らマイクを握り「苦しいこと、辛いことが多かったが、コツコツやるしかないと思って練習してきました」と感慨深げに話し、スタンドの虎党から大きな拍手を浴びた。

 さらに前出のヤクルト関係者は「なんか最近、いろいろやっているみたいね」と藤浪が今年からインスタグラムなどで、積極的に自ら情報発信していることも把握している。「あくまで『勝てれば…』だけど、ヒーローインタビューではインスタの話でも、自分のアピールしたいことを好きに話してもらってOK。この球場ではそれが勝者へのご褒美だと思ってもらえれば」とまで言う。

 ビジター球団の選手にとっても神宮球場でのヒーローインタビューは、自分と現地のファンとの一体化を図れる大切な場でもあり、情報発信に前向きな選手にとってはモチベーションにもなり得る。果たして藤浪は3・26開幕戦で「勝者のマイク」を握れるのか…注目だ。