ソフトバンク・王会長 セ・リーグDH制導入に賛成

2019年12月09日 16時30分

王貞治球団会長

 ソフトバンクの王貞治球団会長(79)が、セ・リーグのDH制導入案について「賛成」と明言した上で「ファンあってのプロ野球」という視点で持論を熱く語った。競技人口が減少し、野球離れが急激に進む日本球界。この現状に危機感を募らせる世界の王は「ファンファースト」の目線で改革を促した。

 王会長は8日に巨人V9監督である故川上哲治氏の故郷・熊本県人吉市で開かれた同氏の生誕100年を記念するトークショーに参加。イベントの中で巨人・原辰徳監督(61)が今秋、緊急提唱したセ・リーグのDH制導入案について「僕は賛成です」と表明した。野球の底辺拡大、発展を切に願う王会長は近年の競技人口の減少、ファン離れを憂い、球界改革の必要性を訴える中で、DH制導入に向けた考えを熱く語った。

 DH制導入賛成の真意はどこにあるのか。イベント後、本紙が直撃すると…。

 王「これはね、ツーアウトで打者(として投手)が立ったらみんな打つ気なんかないじゃない。DH制だとそういうことは絶対ないんだよね。投手は(DH制なしの場合に基本的に投手が入る)9番打者に本塁打を打たれることもあるしね。だから、野球の緊張感というのが持続するし、やっぱりファンというのは何か起こるんじゃないかと思う方がスリルがあって面白いと思うんだよね。ここは投手だから3球でおしまいとか…。そのうち申告敬遠みたいな、申告ナントカ…というのが出てきちゃうんじゃないかな。だから、DH制というのは21世紀には合っていると僕は思うんだよ」。

 では、その意見は球界内で共有されているのだろうか。

 王「そこはセ・リーグにはセ・リーグの考えがあるんだろうけどね。アメリカの話を例にするんだけど(メジャーの)ナショナル・リーグがプロ野球として一番先にスタートしている。ナ・リーグはDH制を取り入れていない。結局、自分たちの意識としてはナ・リーグはアメリカン・リーグより早くスタートしている、自分たちの方が上なんだという意識がある。そういう意識をどうしてもなくせないと思うんだよね。だから、セントラルも巨人、阪神、中日と戦前からあるチームが圧倒的にセ・リーグに多いと、そういうところでね、いいと思いながらもできないというところはあると思うんだよね」。

 DH制を導入していないのは今やセ・リーグとメジャーのナ・リーグだけで、五輪やWBCなど国際大会でもDH制が世界基準ともなっている。王会長は冗談めかしながらこうも言った。

 王「一番の方法はナ・リーグをDH制にするように一生懸命押していった方が近道だと思う。日本はアメリカが変われば絶対変わるから。単独で日本のセ・リーグがDH制になるというのは、いろんな反対とか何かが出てくると思うんでね。何とかナ・リーグがDH制を取り入れるようにプッシュした方が近道だと思いますね」。

 DH制導入について、セ・リーグの改革意識の現状が“米国待ち”というのはどこか寂しい話だが、王会長は最後に「いずれ、そういう話がもっと真剣に検討されるような時代になるんじゃないかなとは思ってますよ」とも語った。

 王会長の考えの中心には常にファン目線の考えがある。現代のファンが今、何を求めているのか。これまでも時代に則した変化、改革の必要性を形にしようとしてきた。今回の発言も伝統やプライドよりも「ファンが求めるエキサイティングな野球」を提供すべきとの考えに基いたものだ。

 近い将来のDH制導入をはっきりと提言した王会長。

「何事も議論が活性化して成熟することが大事」と語る思いは球界全体に広がるか。