〝最高の椅子〟が、座った途端に「人間の盾」へ変わる危険もある――。ア・リーグ西地区のマリナーズは17日(日本時間18日)現在、71勝82敗。レギュラーシーズンでは2019年以来となる負け越しがすでに確定している。そんな中、米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は同日、ダン・ウィルソン監督(57)が今季限りで解任された場合、後任人事には〝最大のリスク〟が潜むと論じた。

 昨季はワールドシリーズ進出まであと1勝まで迫ったが、米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者は、ウィルソン監督を「シーズン後に解任される可能性が最も高い監督」とみている。

 一方、後任にとって戦力面は魅力十分だ。先発陣には土台があり、ファームも全30球団3位と高評価。再建ではなく、来季から再び上位を狙える陣容とみられる。だが「ON SI」が問題視したのは権限だ。

 ジェリー・ディポト編成本部長(58)は、編成トップ就任後11シーズンでポストシーズン進出2度。現時点で球団が同氏を交代させる兆候はないとされ、監督だけを代えれば「別のメッセンジャーで同じメッセージ」を繰り返す恐れがあると指摘。後任がコーチ人事や打撃方針、編成に異論を唱えられないなら、責任だけを背負う〝人間の盾〟になりかねないという。

 魅力的な戦力があるからこそ、必要なのは単なる看板の掛け替えではない。人事の成否は「誰を選ぶか」よりも、選んだ人物にどこまで変える権限を渡せるかにかかっていると言えそうだ。