最強軍団の独走を止める最後のカードは、どうやらブルワーズの手の中にあったようだ。ドジャースは米国時間1日(日本時間2日)、タイガースから2年連続でサイ・ヤング賞に輝いたタリク・スクバル投手(29)を獲得した。交換要員はザイヒール・ホープ外野手(21)、リバー・ライアン投手(27)、ブレイディ・スミス投手(21)の有望株3人。3日(同4日)のトレード期限を待たず、大本命が市場最大の目玉を射止めた。

 一方でブルワーズは球界屈指の厚い傘下組織を持ち、スクバル争奪戦でもレイズと並ぶ対抗馬と目されていた。それだけに補強期限後は「なぜ、もっと踏み込まなかったのか」と批判を浴びたが、実態は静観ではない。ドジャースを止め得るだけの土台は、すでに築いていた。

 米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は6日(日本時間同日)、その結末を覆せた最有力候補がブルワーズだったと指摘した。MLB公式サイトのアダム・マッカルビー記者によると、ブルワーズがタイガースへ示した当初案も有望株3人で、全員が野手。少なくとも2人はMLBパイプラインのトップ100に入り、そのうち1人は全体18位のルイス・ペーニャ内野手(19)だったという。純粋な有望株価値では、ドジャース案を上回っていた可能性すらあった。

 それでもタイガースが選んだのは、ホープに投手2人を組み合わせたドジャースの提案だった。タイガース側が長期保有でき、メジャーで戦力になり得る投手を求めていたことが分岐点になったとみられる。

 そこで「ON SI」が挙げた幻の切り札が、ブランドン・スプロート投手(25)かシェーン・ドロハン投手(27)だった。ペーニャと別の有望野手に、どちらか1人を加えていれば、交渉の天びんはブルワーズ側へ傾いた可能性がある。スプロートは今季までメジャー通算25試合、116回1/3で117奪三振。ドロハンも今季メジャーデビューし、88回で防御率3・48、89奪三振と即戦力性を示していた。

 もっとも、タイガースは期限まで36時間以上を残してドジャースと合意した。ブルワーズが最後の一押しをする時間は消え、結果としてロサンゼルスが争奪戦を押し切った。「ドジャース阻止」の現実的な道は確かに存在したが、切り札を切らなかった代償は、10月にスクバルと対峙する形で返ってくるかもしれない。