真夏の首位争いを熱くしたのは、節目の10勝と〝謎のホットドッグ〟だった。巨人の井上温大投手(25)が5日の広島戦(マツダ)に先発し、7回97を投げて7安打4奪三振、無四球無失点の好投。自身初の2桁勝利となる今季10勝目を挙げ、チームを4―0の快勝へ導いた。

 序盤から落ち着きが光った。初回二死一塁では坂倉の投ゴロを好フィールディングで処理。3回二死一塁では菊池をけん制で刺し、流れを渡さなかった。広島打線を7回まで封じ、先発の柱へ成長した左腕が節目の白星をつかんだ。

 チームは8月初勝利を飾り、首位・阪神にも1ゲーム差に肉薄した。橋上監督代行は「10勝するような優れた内容。今日に限らず『自分がチームを引っ張るんだ』くらいの感じは、シーズン当初から感じてましたのでね。納得できる、うなずける10勝目だと思う」と絶賛した。

 井上も「ほっとしています。うれしいですね」と充実の表情。好投を支えた要因について「体作りから始まって、いろいろな失敗を経て、ここまで来ているので。いろいろな失敗があったからかなと思います」と成長を振り返った。

 飛躍の背景には、オフから取り組んだ肉体改造がある。5キロ増量して体の厚みを増し、長いシーズンを戦い抜く土台を強化。その成果は、厳しい夏場でも球威と安定感を維持する力となって表れた。

 そして、シーズン中の井上を支えるもう一つの〝援軍〟もあったのかもしれない。東京ドームの試合前に用意されるケータリングのホットドッグだ。ある投手がいたずら心で井上のロッカーに置くと、いつの間にか消えていた。「置かれたら食べるしかないじゃん~」との言葉を聞き逃さず、その後は2個、3個と〝追加供給〟されたという。一連の出来事を明かした同僚の堀田は、仕掛け人について「それは謎に包まれているんですけどね」と含みを持たせた。

 10勝を支えたのは、地道な努力と失敗を糧にした成長であることは間違いない。それでも、ロッカーに忍ばされた〝謎のホットドッグ〟が、真夏の快投を陰で後押しした可能性もなくはなさそうだ。