第108回全国高校野球選手権大会が5日から甲子園球場で熱戦の火ぶたを切る。センバツ4強ら歴戦の強豪校が次々と姿を消した今大会は、初戦からプロ注目の157キロ右腕・織田翔希(3年)を擁する横浜(神奈川)と夏連覇を狙う沖縄尚学のV候補同士が激突。横浜をセンバツ初戦で沈めた神村学園(鹿児島)も東筑(福岡)と〝九州最強決戦〟のつぶし合いとなり、群雄割拠の真夏の戦いは史上空前の戦国大会となりそうだ。

波乱の抽選の結果、横浜と沖縄尚学が初戦で激突(代表撮影)
波乱の抽選の結果、横浜と沖縄尚学が初戦で激突(代表撮影)

〝西の横綱〟大阪桐蔭はセンバツV投手の川本晴大(2年)の負傷が響いて4回戦で敗退し、準Vの智弁学園(奈良)は3回戦で敗退。さらにベスト4の中京大中京(愛知)も5回戦で去り、専大松戸(千葉)も決勝まで進んだが、拓大紅陵の前に涙をのんだ。

 他にも超高校級右腕でメジャースカウトも視察した195センチの剛腕・菰田陽生(3年)を擁する山梨学院、長距離砲の牟礼翔(3年)が注目された九州国際大付(福岡)、常連校の聖光学院(福島)、日大三(西東京)、星稜(石川)、広陵(広島)なども早すぎる夏の終わりを迎えた。

 そんな中で激戦区を危なげなく制した横浜が本命視されたが、初戦からいきなりのつぶし合いだ。第6日第2試合で昨夏王者の沖縄尚学と対戦。横浜のエース・織田は直球に磨きをかけ、より完成度の高い〝ドラフト1位候補〟に成長し、その雄姿をドジャースやヤンキースも視察したほどだ。3日の甲子園練習で調整した日米注目の右腕は「どこが相手でもやるべきことは変わらない。自分らしい投球をしたい」と腕をぶし、強力打線に名を連ねる小野舜友(3年)、池田聖摩(3年)、川上慧(2年)ら野手陣とともに気合十分だった。

 対する沖縄尚学も末吉良丞、新垣有絃の左右コンビに加えて久高大瑚(いずれも3年)が台頭し、昨夏からレベルアップ。この一戦が事実上の決勝戦とみる向きもあり、優勝の行方を大きく左右するかもしれない。

 とはいえ、両者とも〝盤石〟とは言えず、横浜は走塁ミスも散見され、織田は下半身に不安も抱えている。センバツでも神村学園にまさかの完封負けを喫し、Vへの道は簡単ではない。

 沖縄尚学も末吉がセンバツ後の4月に左ヒジを負傷し、長らく打者中心の練習を強いられた。沖縄大会の準決勝で復帰登板を果たし「連覇への挑戦権を獲得できた」と意気上がるが、万全には程遠く、先発するかは微妙。横浜を下したとしても不安は残る。

 また、九州勢ではセンバツで横浜を完封した龍頭汰樹(3年)に松永遥斗(2年)、仲地奏宇(2年)と投手力をそろえ、堅守と機動力も兼ね備えて4季連続出場の神村学園がV候補に挙がる。しかし、こちらも第2日第1試合でプロ注目の147キロ右腕・深町光生(3年)を擁する東筑と直接対決する運命となっている。

センバツは2回戦で敗退した神村学園もV候補だ
センバツは2回戦で敗退した神村学園もV候補だ

 体力を奪われる酷暑が予想される中、2回戦スタートのアドバンテージを得たのが、履正社(大阪)、花咲徳栄(埼玉)、天理(奈良)あたり。激戦区の大阪を3年ぶりに勝ち上がった履正社は打線が全国屈指の破壊力を誇り、大阪大会7試合で66得点、5失点と投打のバランスも抜群だ。

 2回戦組に追い風が吹くのか、強豪対決の勝者が勝ち上がっていくのか…。大会関係者は「総合力で横浜リードは動かないが、こうなるとどこが勝ってもおかしくない。英明(香川)と関東第一(東東京)も智弁和歌山と社(兵庫)といい、実力的に同じようなチームが当たっている。組み合わせで全く展開が変わる。力的には花巻東(岩手)、仙台育英(宮城)も劣らない」と混迷予想するしかなかった。

 地区大会に続いて組み合わせ抽選も波乱。横浜と神村学園の運命の再会ならドラマチックだが、実力拮抗のチームが多いだけに本戦も波乱が避けられそうにない。