「ユニコーンのヒザ」が、消えかけていた超大型トレードの導火線に再び火を付けた。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」と米メディア「ヘビー」など複数の現地メディアが29日(日本時間30日)、ドジャースがタイガースのタリク・スクバル投手(29)の獲得に再び動く可能性を相次いで報じている。一時は残留説が強まっていた球界屈指の左腕が、8月3日(同4日)のトレード期限を前にまたしても市場最大の目玉として浮上した。

 風向きを変えたのは「想定外」と言い切れるタイガースの急失速だ。27日(同28日)のオリオールズ戦に5―8で敗れ、同日までに3連敗。50勝57敗となり、ア・リーグのワイルドカード圏から4・5ゲーム差まで後退した。夏場に入って巻き返し、スクバルを残してポストシーズンを目指すとの見方も出ていたが、期限直前に「終了」モードへ逆戻り。今オフにFAとなるエースを抱えたままシーズンを終えるより、売り手に回って将来の主力候補を回収すべきだとの声が球団内でも再び強まっているとの見解が大勢を占め始めている。

 その最大の受け皿になり得るのがドジャースだ。従来はスクバル争奪戦へ深追いしないとの観測もあった。だが、大谷翔平投手(32)が長引く左ヒザ痛により7月3日(同4日)を最後に登板から遠ざかり、投手としての復帰時期は不透明。打者出場は続けられる一方、先発陣ではグラスノーが腰、スネルも左肘の手術から復帰途上にあり、盤石に見えたローテーションは一転して手薄になった。

 前出の「ON SI」は、スクバルとドジャース傘下の有望株3人による「1対3」の具体案を提示した。交換要員はザイヒル・ホープ外野手(21)、ザック・ルート投手(22)、アダム・セルウィノウスキー投手(22)。中でもホープは2Aで今季90試合に出場し、OPS・890、21本塁打、84打点とプチブレーク中。ルートも1A+で15試合に先発して防御率2・40を残しており、タイガース側にとっても再建を加速させる魅力的なパッケージとなる。

 もちろん、2年連続でア・リーグのサイ・ヤング賞に輝いたスクバルは、わずか数か月の「レンタル」とはいえ安くない。レイズやブルワーズも有力候補に挙がっており、競争が激化すればドジャースが差し出す代償は一段と膨らむ。それでも、10月の短期決戦でスクバルを先発陣の柱に据えられる価値は計り知れない。

 ロバーツ監督ら首脳陣の本音は、大谷に今、無理をさせないことだろう。極論すればレギュラーシーズンは投手休養に充て、打者に専念させてもいい。スクバルを獲得できれば、その決断を後押しし、大谷を万全の状態でポストシーズンのマウンドへ送り出せる。3連覇を狙う王者にとって、未来の有望株3人を差し出してでも手に入れる価値のある「保険」であり、同時に最強の切り札となる。

 秒読み段階に入ったトレードデッドラインを目前にスクバルはデトロイトを離れ、LAもしくは別の新天地で戦うことになるのか。それとも結局、残留するのか。予断を許さない状況に入ったことだけは確かだ。