暗闇のアナハイムから、一気に10月の大舞台へ――。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は29日(日本時間同日)、ア・リーグ東地区首位を走るレイズが水面下でエンゼルスのリード・デトマーズ投手(27)を補強候補としてクローズアップしていると報じた。

 今夏のトレード期限は8月3日午後6時(同4日午前7時)。ア・リーグ最高勝率を誇るレイズは、悲願のワールドシリーズ制覇を狙える位置につけている。投手陣は安定しているものの、長丁場を勝ち抜き、ポストシーズンの短期決戦まで見据えれば、先発ローテーションにもう一枚を加えておきたい。そこでチーム事情にぴたりとはまる存在として浮上したのがデトマーズだ。

 同サイトは、米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のジム・ボウデン氏がデトマーズを「完璧な標的」に挙げたことを紹介。タイガースのタリク・スクバル投手(29)を獲得できれば球界を揺るがす大型補強となるが、今オフにFAとなる大物にトップ級の有望株を差し出すのは、育成を軸に戦力を循環させてきたレイズにとってリスクが大きい。一方、デトマーズは2028年まで球団保有が可能。獲得後も複数年にわたって戦力計算できるため、若手を交換要員に含める合理性がある。

 デトマーズは今季22試合に先発し、3勝7敗、防御率4・03。125回で145三振を奪い、WHIP1・10を記録している。勝敗だけを見れば物足りなく映るが、援護や守備を含めて苦しい環境にあるエンゼルスで、奪三振能力と安定感を示してきた。絶対的エースというより、計算できるローテーションの中軸として、レイズが求める条件に合致する。

 そして、この話はデトマーズ側にとっても、これほどおいしいものはない。エンゼルスは2014年を最後に11季連続でポストシーズンから遠ざかり、今季もア・リーグ西地区最下位に低迷。デトマーズ本人が移籍を望んでいるとの情報は表立ってないにせよ、置かれている立場を考えれば勝てないチームからリーグ最高勝率の首位球団へ移り、いきなり10月の大舞台を目指せることになる。

 レイズには優勝へ向けた現実的な補強となり、エンゼルスには再建を進めるための有望株を得る好機となる。そしてデトマーズには、長く続く低迷から抜け出す出口が開く。三者の思惑が一致するなら、アナハイムからの〝脱出〟とポストシーズンへの入口が、同じ扉になるかもしれない。