勝つための一発は空砲に終わり、売るための一戦は大暴落――。低迷するブルージェイズに、二重の誤算が降りかかった。ブルージェイズは28日(日本時間29日)、敵地でナショナルズに6―8で敗れた。岡本和真内野手(30)は右太もも裏の張りで退いたゲレロに代わって途中出場。2―7の5回、相手先発カバリから中越えへ追撃の24号ソロを放ち、この時点で日本人メジャーリーガーとして今季単独トップに立った。だが、8回にスプリンガーの12号3ランで2点差まで迫った反撃も届かず、岡本の一発は空砲となった。
これでブルージェイズは49勝59敗。今季ワーストに並ぶ借金10となり、米東部時間8月3日午後6時(日本時間4日午前7時)のトレード期限を前に「売り手」へ回る可能性は一段と高まった。そこで交換要員の有力候補と目されていたのが、今オフにFAとなるシェーン・ビーバー投手(31)だった。
ところが、他球団の編成担当者へ復調ぶりを示す絶好の「見本市」となるはずだった先発登板で、商品価値を自ら暴落させた。試合開始が豪雨で1時間7分遅れた影響もあったのか、初回から制球が完全に崩壊。対戦した9人のうち6人に四球を与え、押し出しも3つ。42球を投げてストライクはわずか15球で、二死を奪っただけでシュナイダー監督から交代を告げられた。
初回を投げ切れず、2/3回1安打4失点、6四球。メジャー通算でも自己最短の先発登板となり、1イニング6四球は球団ワースト記録だった。防御率は4・70から5・74へ急上昇。今季7度の先発で31回1/3を投げ、18四球となった。米メディア「ヤードバーカー」は同日、歴史的な乱調によって「トレード価値を地に落とした」と厳しく指摘した。
ビーバーは直前の23日(同24日)のレイズ戦で7回3安打1失点、無四球の好投を見せ、故障明けからの復調とともに市場価値を高めつつあった。本人も試合後、「ブルージェイズで最高だったかもしれない登板の次が、間違いなく最悪になった。自分以上に悔しがっている者はいない」と責任を背負った。
先発補強を急ぐ優勝争いの球団にとって、2020年のア・リーグ・サイ・ヤング賞右腕という看板は魅力的だ。ただし、残り2か月のために不安定な制球を修正するリスクまで負い、トッププロスペクト級の若手を差し出す球団が現れるとは考えにくい。ブルージェイズがビーバーを好条件で放出し、再建に必要な有望株を引き出す青写真は、一夜にして暗礁へ乗り上げた。同メディアは「トレード期限までに価値を取り戻す次の登板さえ、もう残されていない可能性が高い」と指摘しているが、果たしてビーバーの去就の行方はどうなるのか――。












