急失速する名門が、球界最強左腕をのみ込む超大型補強へ動き出した。米メディア「ヘビー」は28日(日本時間29日)、フィリーズがタイガースのタリク・スクバル投手(29)の獲得を視野にスカウトを派遣していたと報じた。今夏のトレード市場最大の目玉を巡る争奪戦に、意外な大物球団が本格参戦する可能性が浮上した。

 MLBネットワークのジョン・モロシ記者によると、フィリーズは複数球団とともに、24日(同25日)にデトロイトで行われたロイヤルズ戦のスクバルの先発登板を視察した。この日の左腕は7回1/3を投げて4安打1失点、今季最多の12三振を奪う圧巻の投球。タイガースを2―1の勝利に導き、目の前に集まったスカウト陣へ最高の〝最終プレゼン〟を披露した。

 スクバルは2024、25年と2年連続でア・リーグのサイ・ヤング賞に輝いた現役屈指の左腕。今季は左肘の処置で離脱した時期がありながら、ここまで15試合に先発して7勝5敗、防御率2・70、90回で110奪三振をマークしている。これまで移籍先としてはレイズ、ヤンキース、ドジャース、ブレーブス、ブルワーズなどが有力候補に挙がってきた。

 それだけにフィリーズの視察は新たな火種だ。同球団にはザック・ウィーラー投手(36)、クリストファー・サンチェス投手(29)という強力な二枚看板がおり、スクバルが加われば短期決戦で相手を震え上がらせる〝超豪華ローテ〟が完成する。

 一方で、フィリーズは28日(同29日)終了時点で57勝51敗。ナ・リーグ東地区首位のブレーブスに6ゲーム差をつけられ、直近7試合では6敗を喫する急ブレーキに見舞われている。ワイルドカード圏内には踏みとどまっているものの、その差はわずか1ゲーム。先発陣の上位は強力でも、下位ローテの不安定さが足かせとなっており、勝負どころで流れを変えられる絶対的エースの必要性は高まっている。

 タイガースも簡単には首を縦に振らない。スクバルは今季終了後にFAとなる〝短期レンタル〟だが、2年連続サイ・ヤング賞左腕だけに交換条件は高騰必至。米スポーツ専門局「ESPN」のジェフ・パッサン記者は、他球団幹部の間でタイガースが放出を望んでいるとみられている一方、球団が求めるだけの見返りを得られるかは不透明と伝えている。タイガースはワイルドカード圏まで3・5ゲーム差におり、完全に来季へ切り替えられる状況でもない。

 それでも、編成責任者デーブ・ドンブロウスキー氏は勝機と見れば将来の有望株を惜しまず投入してきた実績を持つ。スクバルは29日(同30日)のオリオールズ戦に先発予定。8月3日(同4日)の期限を前に、これがタイガースでのラスト登板となる可能性もある。急失速からの逆襲へ、フィリーズが究極の勝負手を切るのか。球界を揺らす争奪戦は、いよいよ最終局面へ突入した。