ソフトバンクは前半戦を58勝34敗1分けで2年ぶりとなる首位ターンを決めた。2位・西武に5・5ゲーム差をつけ、リーグ3連覇に向けて独走の予感すら漂わせている。本紙評論家で球団OBでもある加藤伸一氏が「投打のMVP」をピックアップ。前半戦で大躍進した右腕へ求めた〝高い志〟とは──。

【インハイアウトロー・加藤伸一】前半戦を首位で終えたホークス。いろいろなところで「先発が課題」とは言われるものの、総合すればチームのバランスに偏りがなかった。先発は長いイニングを投げるとはいかずとも、5回まで試合をつくり最低限の役割を果たしたことは評価できる。救援陣も勝ちパターンが登板過多ということもなく、首脳陣がうまく知恵を絞りながらやりくりできていると言えるだろう。

 攻撃陣は近藤、栗原の並びが非常に強力。「打のMVP」を挙げるとするならば前半戦で30本塁打を放った栗原だ。チーム内競争がある集団は強い。近藤とのタイトル争いはおそらく最後まで続くだろう。

 そして「投のMVP」で挙げるのが大津だ。開幕時は先発6、7番手だった男が一気にエース格までごぼう抜き。半年で首脳陣の評価を一変させた。唯一、開幕からローテーションを守り続けてリーグ2位の9勝、防御率2・51は立派な数字だ。

 これまでシーズンを通して戦い抜いた経験がない右腕にとって、後半戦の投球は重要だ。もちろん多少の疲れはあると思うが、この暑い時期を工夫して乗り切れば本当の自信につながる。その上でぜひ大津には「シーズンを完走する」ではなく、より高い目標を持ってほしい。プロ野球選手はあくまで個人事業主。原則は「優勝があっての自分」ではなく「自分があっての優勝」だ。チームの優勝争いとは別に、貪欲に個人タイトルを狙うような姿勢を見せてほしいものだ。

 今の成績なら沢村賞を狙うくらいの気持ちを持っていいはずだ。なかなかいつでも狙えるチャンスがある賞ではない。イニングは多く消費しなければならないが、勝ち星や勝率では現時点で十分狙える位置にいるだけに、どんどん欲を出して最後まで駆け抜けてほしい。(本紙評論家)