どん底からの逆襲に、思わぬ形で扉が開いた。ヤンキースは9日(日本時間10日)、右親指を捻挫したジャズ・チザム・ジュニア内野手(28)の10日間の負傷者リスト(IL)入りを決めた。これを受け、アンソニー・ボルピ内野手(25)が3Aスクラントン・ウィルクスバリから再昇格する見通しとなった。
チザムは8日(同9日)の本拠地ロッキーズ戦の8回、二塁へ滑り込んだ際に右親指を負傷。翌9日に検査結果が判明した。ブーン監督は「今後7日から10日間は野球関連の活動を一切行わない」と説明。シーズン最終盤で俊足を武器に40盗塁を記録し、直近18試合でも打率3割6分4厘と上向いていた主力を欠く痛手を負った。
米メディア「ヤードバーカー」は9日に「チザムの負傷により、ボルピに関する重要な疑問が生じる」と報道。8月4日(同5日)に3Aへ降格して以降、内野の複数ポジションに対応してきたボルピを再びメジャーへ呼び戻す選択肢に焦点を当てた。ブーン監督も「彼は本当にいい状態にあると思う。非常にいい成績を残し、素晴らしいプレーを見せている。他のポジションにもうまく適応している」と評価していた。
9日のロッキーズ戦ではホセ・カバジェロがチザムに代わって先発。一方、その後、地元放送局「YESネットワーク」のジャック・カリー記者もボルピがチザムのIL入りに伴って再昇格すると伝え、復帰への流れは一気に現実味を帯びた。その背景には、ボルピ自身の〝別人化〟がある。1~6日(同2~7日)のマイナー6試合では21打数11安打の打率5割2分4厘、3本塁打、6打点、5盗塁をマークし、インターナショナル・リーグ週間最優秀選手に選ばれた。今季メジャーでは56試合で打率2割4分、1本塁打、19打点と振るわず、8月に再び3Aへ送られたが、そこで打撃を立て直してきた。
ヤンキースは9日のロッキーズ戦にも6―1で勝ち、83勝62敗。ア・リーグ東地区首位レイズを4ゲーム差で追い、10月へ向けて一戦の重みが増す局面にいる。チザム離脱は大誤算だが、ボルピにとっては失った居場所を取り戻す千載一遇の機会でもある。
降格で終わったはずの物語が、優勝争いの土壇場で再び動き出す。3Aで取り戻した打棒をブロンクスでも再現できるのか。ヤンキースの窮地を救えれば、悔しい夏は一転して〝復活の助走〟だったことになる。












