崖っぷちだからこそ、打った一手は〝お試し〟ではない。パ3位の日本ハムは9日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)に4―5で敗れ、前日に続いて首位との直接対決に連敗した。奇跡の逆転Vはすでに絶望的な状況で、2位・西武との差も2ゲームに拡大。残り試合を考えても厳しい立ち位置に追い込まれた。
そんな大事な一戦で新庄剛志監督(54)が「6番」で先発起用したのが、二刀流の柴田獅子投手(20)だった。高卒2年目の右腕は今季、交流戦期間中に一軍で2度先発。7月以降も救援で登板するなど主に投手として起用されてきただけに、打者としてのスタメン抜てきには一部ファンから「なぜ今、柴田を使うのか」と疑問の声も上がった。
だが、勝負を捨てて若手を試したわけではない。そこには柴田の打者としての潜在能力を引き出すと同時に、CSも見据えた対ソフトバンクへの布石という狙いがにじむ。8日の大敗が象徴するように鷹軍団は投打とも強力。正攻法だけで押し切るのは容易ではなく、日本ハム最大の武器でもある一発を含めた長打力で得点力を高めることが攻略への一つの道となる。今季ファームで計8本塁打を放つ柴田を宿敵相手に打線へ組み込むことには十分な意味がある。
ある野手も「正直、普通に戦ってもホークス相手に連勝は難しい。短期決戦で勝つなら一発攻勢で得点を重ね、投手陣が最少失点で抑えるしかない。その展開にもっていくには打撃重視のオーダーでいくしかない。単打をつないで攻略できるほどホークス投手陣は弱くないですからね」と語る。
その期待に柴田も結果で応えた。第1打席で右前にプロ初安打を放つと、第4打席でも詰まりながら右翼への単打をマークし4打数2安打。チームは1点差で敗れたものの、新庄監督は試合後「惜しいじゃダメだもんね。負けは負けですから」と悔しさをにじませながら、「柴田君、ナイス2本。内容がいいんですよ。三振の仕方でもしっかりしたポイントで空振りしてるので。期待持てますよね」と賛辞を惜しまなかった。
チームは厳しい試練を迎える中でも着々と策を講じている。今はその施策がCSを含めた今後の戦いで花開くことを願うしかない。












