追い詰められて、ようやく鎖が外れた。日本ハムは2日のソフトバンク戦(エスコン)で延長12回の末、1―1で引き分けた。6連勝こそお預けとなったが、首位を走る宿敵との2連戦は1勝1分け。今季初のカード勝ち越しを決め、2位・西武との2ゲーム差も維持した。優勝争いではなお厳しい位置にいる。それでも、がっぷり四つで渡り合った姿には奇跡の逆転Vを最後まで諦めない勢いがにじむ。シーズン終盤を迎えたベンチは、意外にも今季最高ともいえるムードに包まれているという。
どん底まで沈んだからこそ、吹っ切れたのか。選手会長の清宮幸太郎内野手(27)が「まだ優勝を諦めていませんから」と言えば、ある野手も「チームの雰囲気は本当に良いです。今が今年一番ぐらいじゃないですか」と自信を深める。
8月中旬まではリーグ3位確保にも神経をとがらせていたチームが、なぜわずか10日足らずで息を吹き返したのか。背景には5連勝の勢いに加え、苦手としてきたソフトバンクと互角に戦えるようになったことがある。前出の野手は「いい意味でみんな吹っ切れたというか。変な呪縛から解放されたのも大きい」と明かし、こう続ける。
「今季のファイターズは開幕直後から優勝が当たり前のように見られたこともあり、みんな『勝たないといけない』と力が入っていた。そこにライバルのホークスに連敗し続けたことが重なり、余裕がなくなってしまった。でも、8月中旬頃でしょうか。首位に大差をつけられたこともあり、何となくチーム全体が『自分たちの野球をやろう』という空気に変わっていった。その辺りからですね。みんなのびのびとプレーするようになりましたし、ベンチも今まで以上に明るくなってきましたから」
開幕前から優勝候補の筆頭に挙げられ、ナインも口々に「優勝」を強調してきた。ところが、その強すぎる思いが無意識のうちに重圧へと変わり、チームを〝よそ行きの野球〟に縛りつけた。皮肉にも首位から大きく引き離されたことで、その鎖が外れた。開き直りにも似た〝ゴー・フォー・ブローク〟の精神が宿り、選手たちは本来の自然体を取り戻しつつある。
残り20試合。逆転Vへの道が険しいことに変わりはない。それでも新庄剛志監督(54)は2日の試合後「今日は連勝を伸ばせなかったけど、また仙台からスタートしますよ!」と前を向いた。宿敵相手にも力まず、真正面から渡り合えるようになった日本ハム。この空気を最後まで維持すれば、奇跡を起こす余地はまだ残されている。












