虎の連勝は止まっても、指揮官の〝深謀〟はますます読めない――。阪神は2日のヤクルト戦(神宮)に3―5で敗れ、連勝は5でストップ。先発の西は4回途中7安打3四球4失点と崩れ、今季4敗目。わずか4安打の虎打線も最後まで劣勢を覆せなかった。

 2位・巨人も敗れ、ゲーム差は4・5のまま。藤川球児監督(46)はヤクルト先発の山野について「山野が力強くタフな投球をしていましたね」とサバサバと振り返った。同戦の猛虎スタメン表には、意外な男の名前が記されていた。正遊撃手候補として期待されながら2月の春季キャンプで早々に守備難を露呈し、長いファーム暮らしを余儀なくされていた来日1年目助っ人、キャム・ディベイニー内野手(29)だ。

 ファームでは主に内野で起用されてきたが、この日の守備位置は左翼。指揮官は「もともと(外野守備は)アメリカでもやっていましたし練習でもやっていましたから」と説明する。とはいえ日本球界での公式戦外野守備経験は2試合しかなく、7回にはクッションボールの処理に苦戦する一幕も見られた。

 肝心のバッティングも左飛、遊ゴロ、中飛の3タコ。打率が0割9分1厘まで落ち込んだ助っ人のスタメン起用の意図を問われた藤川監督は「勝負ですから。勝負として選手を起用する。試すとかいうのはないですね。ひとつずつ理由があって意味があってやっているので」とだけ語り、会見を切り上げた。

 優勝マジックを19まで減らし、球団史上初の連覇が現実味を帯びてきた今、ポストシーズンを含めた今後を見据え、指揮官の頭の中ではさまざまな選択肢が巡っているはずだ。藤川監督のチームマネジメントを高く評価する他球団関係者も「工藤、木下を入団から2年かけて長期的視野で育成し、今夏の一軍戦力として間に合わせた手腕はお見事。まあいろいろと深いお考えがあるんでしょう」と語る。

 今回のディベイニーのスタメン起用にも、指揮官が語る「理由」と「意味」があるのだろう。だが情報統制を重んじる藤川監督の記者応対は往々にして抽象的。ケムに巻くような物言いも多く真意はいつも霧の中だ。古典落語の名作「蒟蒻問答」のようなやりとりは今後も続いていく。