敗戦の夜にさえ、名門の異次元ぶりは色あせなかった。ヤンキースは25日(日本時間26日)、敵地フェンウェイパークでのレッドソックス戦に3―6で敗れた。だが、守備の乱れで喫した黒星だけを切り取って、今季の強さを測るのは早計だ。米メディア「ヤードバーカー」が「ア・リーグで倒すべきチーム」と評したように、数字を並べれば、今季のヤンキースは「史上最強級」と呼ばれても不思議ではない完成度を示している。

 この日の試合後、ヤンキースは48勝32敗。打線は403得点でア・リーグ1位、MLB全体でも5位に入る。120本塁打は両リーグを通じてトップで、85盗塁もMLB3位、ア・リーグ1位。長打率4割3分6厘、OPS7割6分5厘はともにMLB2位で、ア・リーグではトップに立つ。単に豪快な一発に頼るだけではなく、得点力、長打力、機動力を兼ね備えた攻撃集団へと変貌している。

 驚くべきは、主砲アーロン・ジャッジ外野手(34)を右第1肋骨の疲労骨折で欠く中で、この数字を残している点だ。絶対的な軸を失っても、ポール・ゴールドシュミット内野手(38)、ベン・ライス内野手(27)、ジャズ・チザム内野手(28)らが役割を果たし、打線全体の出力を落としていない。大物依存ではなく、編成、育成、起用がかみ合った組織力の勝利でもある。

 投手陣も負けていない。チーム防御率3・30はMLB全体1位。WHIP1・19も全体3位タイ、ア・リーグ1位タイで、被打率2割2分6厘も上位に食い込む。この日先発したキャメロン・シュリトラー投手(25)は5回5安打4失点ながら自責点は0。9奪三振を奪い、防御率を1・62まで下げた。5回に守備のミスから4点を失い敗戦投手となったが、内容はむしろヤンキースの投手力の厚みを裏付けるものだった。

 もちろん課題はある。捕手陣の打撃、ベンチ、ブルペン整備は今夏の補強ポイントになり得る。それでも、他球団から大物をかき集めるだけではなく、内部の底上げで穴を埋められるのが今季の強みだ。得点403、失点293。得失点差プラス110という数字は、偶然の産物ではない。

 このままなら、ヤンキースがア・リーグの本命として10月へ突き進むシナリオは十分に現実味を帯びる。ナ・リーグ最強と目されるドジャースとの2年ぶりのワールドシリーズ再戦へ――。ニューヨークの期待感は、黒星の中でもむしろ膨らみつつある。