果たして高額FA市場の主役が、わずか数か月で古巣へ〝Uターン〟する可能性はあるのか。今夏の大型トレードでタイガースからドジャースへ移籍したタリク・スクバル投手(29)の〝古巣愛〟が、思わぬ波紋を広げている。2020年にタイガースでメジャーデビューし、24、25年に2年連続でア・リーグのサイ・ヤング賞に輝いた左腕は今、ドジャーブルーのユニホームを身にまとい、ここまで2試合で先発マウンドになっている。

 その一方で米メディア「ヤードバーカー」は11日(日本時間12日)、タイガースのスコット・ハリス野球運営部門社長が、今季終了後にFAとなるスクバルの発言に反応したと報じた。
 
 スクバルは7日(同8日)に公開された人気ポッドキャスト番組「パードン・マイ・テイク」で、デトロイトへの思いを隠さなかった。「デトロイトでキャリアを全うしたい」と語り、ポストシーズン終了後の11月に契約交渉が再開されることへの期待も口にした。タイガースのチームメートに別れを告げた際には涙を流したことも明かしており、移籍直後の新天地で古巣への未練を隠さなかった格好だ。

 この発言に対し、MLBネットワークラジオに出演したハリス社長は「驚きませんよ」と平然。「うちの選手たちはここでプレーするのが大好きです」と語り、球団が選手にとって魅力的で、十分な支援を受けられる環境づくりに力を注いできたと胸を張った。

 さらに、スクバルのようなスーパースターから好意的な言葉が出たことを、現場を支えるスタッフへの「賛辞」とも表現。タイガースという球団そのものへの自信がにじむ返答だった。

 焦点は、ここからだ。ハリス社長は今オフのFA戦略について詳細を明かさず、スクバル再獲得の可能性も否定しなかった。前出のヤードバーカーも、交渉への扉は残されたと受け止めている。

 タイガースはシーズン前にスクバルとの長期契約をまとめ切れず、FAで見返りなく流出するリスクを抱える中、今夏に放出した。今オフは超大型契約が見込まれるだけに、資金面のハードルは決して低くない。24年夏にドジャースへ放出したジャック・フラーティ投手(30)を、その後FAで呼び戻した前例もある。

 ドジャースでの戦いは始まったばかり。それでもスクバルの心には、まだデトロイトが深く残っている。古巣トップも扉を閉ざさなかった以上、今秋のFA市場では思わぬ〝出戻り劇〟の実現可否が最大級の注目案件へ膨らむかもしれない。