順位表の「圏内」という甘い響きに、シーズンの本質が隠れる。米メディア「ファンサイデッド」は23日(日本時間24日)時点のMLBワイルドカード争いを題材に、現段階の順位をポストシーズン進出の確実な判断材料とみる危うさを指摘した。まだ6月下旬。勝ち星の並びはチーム力の結論ではなく、むしろ各球団が抱える落とし穴を覆い隠す「〝言葉のマジック〟になりかねない」というわけだ。
 
 同日時点のMLB公式順位表では、ア・リーグのワイルドカードはレイズが43勝33敗で最上位に立ち、ガーディアンズが41勝39敗で続く。3番手には39勝40敗と勝率5割を切るブルージェイズが入っており、レンジャーズ、アスレチックス、ツインズ、アストロズ、オリオールズも小差で追う。だが、ここに数字の妙がある。レイズは貯金10ながら得失点差はゼロで、期待勝敗は38勝38敗。見た目ほど盤石とは言い切れない。

 さらに危ういのはアストロズだ。38勝43敗で圏内まで2ゲーム差にいるが、得失点差はマイナス41。勝ち越している球団を相手に11勝18敗と苦しみ、混戦に救われている側面がにじむ。ツインズも同じ38勝43敗で2ゲーム差だが、得失点差はマイナス28。ワイルドカード争いに名を連ねているからといって、秋まで生き残る根拠にはならない。

 ナ・リーグも似た構図だ。ドジャース、ブルワーズ、ブレーブスは地区首位として地力を示している一方、ワイルドカード圏は見極めが難しい。カージナルスは42勝35敗で首位に立つが、得失点差はわずかプラス4。パドレスも41勝37敗ながら得失点差はマイナス8で、成績と中身のズレが目につく。ダイヤモンドバックスは40勝39敗と踏みとどまるものの、得失点差はマイナス25。勝ち越し球団相手には11勝25敗と、強豪相手で地力を問われている。

 ワイルドカードという言葉は便利だ。だが、今の順位表は「可能性」を示すものであって「実力保証書」ではない。夏のトレード期限を前に、球団もファンも目先の順位に踊らされれば、補強判断や期待値を誤りかねない。混戦は熱を生むが、数字の裏側を見誤れば一転して冷水を浴びる。順位表は時に、もっともらしい顔をしてうそをつく――。同メディアの投げかけた素朴な疑問は、確かに一理あるようだ。