NY名門の財布に、桁違いの追い風が吹き込んだ。英スポーツビジネス情報サイト「Sportcal」は11日(日本時間12日)、ヤンキースの持ち株会社ヤンキー・グローバル・エンタープライズ(YGE)が、資産運用大手アポロ傘下のアポロ・スポーツ・キャピタル(ASC)と総額26億ドル(約4134億円)の資金調達契約を結んだと報じた。契約は信用供与と株式投資を組み合わせた大型案件で、同日にYGEとアポロ側から正式発表された。
言うまでもなく、巨額マネーのすべてがそのまま選手補強費になるわけではない。発表では、調達資金を球団事業の成長と既存債務の借り換えに充てるとしている。借金を整理しながら株式資本も取り込むことで、手元資金や投資余力を確保しやすくなり、球団経営の自由度を高められるのが大きい。球場、放映、事業開発などYGE全体の成長投資を進められれば、中長期的には野球部門へ回せる経営資源の厚みにもつながる。少なくとも「カネがないから動けない」というリスクを遠ざける強力な後ろ盾となる。
Sportcalは、フォーブスが今年3月にヤンキースの球団価値を85億ドル(約1兆3515億円)と評価したことも紹介。ただし今回の26億ドルは負債と株式を組み合わせた調達額であり、そのまま球団価値や新たな「補強予算」を示す数字ではない。
とはいえ、主導権は揺らがない。ASCのアル・タイリス最高経営責任者はYGE取締役に加わるが、スタインブレナー家はヤンキースの完全な経営支配を維持し、ハル・スタインブレナー会長も球団経営のトップに残る。同会長は今回の提携で「戦略的な機会」を追求できるとの趣旨を強調した。
グラウンド上でも野望は明確だ。11日終了時点で67勝52敗のア・リーグ東地区2位。首位レイズとは6ゲーム差ながら、ポストシーズン圏内に入っている。視線の先にあるのは、2009年以来17年ぶりとなる28度目の世界一だ。
忘れられない借りもある。24年ワールドシリーズではドジャースに1勝4敗で屈し、15年ぶりにたどり着いた頂上決戦で涙をのんだ。その宿敵は昨季も頂点に立ち、今季は3連覇を狙う。2年前の雪辱を果たす舞台として、これ以上の相手はいない。
名門復権へ、戦力だけでなく経営の足場まで固めたヤンキース。約4000億円規模の資本面の〝援軍〟を得た今、「ドジャース王朝」に待ったをかける準備は着々と進んでいる。












