大本命の影で、王者の補強網は静かに広がっている。ワールドシリーズ3連覇を狙うドジャースのトレード期限前補強について、米メディア「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」が22日(日本時間同日)に特集記事を組み、クローズアップした。今夏市場の目玉であるタイガースのタリク・スクバル投手(29)は、すでにドジャースの本命補強として見られている存在。だが、同メディアの焦点は「スクバルを獲るか否か」にとどまらない。高騰必至の大物左腕を軸に、ジョー・ライアン投手(30=ツインズ)、アロルディス・チャプマン投手(38=レッドソックス)、カイル・フィネガン投手(34=タイガース)まで並べ、LAの投手補強が複線で進む可能性を示した。
ドジャースは21日(同22日)終了時点で49勝29敗。ナ・リーグ西地区首位を走り、2位パドレスに9ゲーム差をつけている。大谷らを軸にした打線は破壊力十分で、補強の主戦場は野手ではなく投手陣だ。先発陣には故障者が相次ぎ、救援陣も同メディアによれば過去1か月の防御率5・19でメジャー25位。首位独走の豪華軍団にも、短期決戦を勝ち切る不安は残る。
スクバルは2024、25年のア・リーグのサイ・ヤング賞を連続受賞した左腕。今季は9試合で3勝3敗、防御率3・02ながら、市場の中心であることは揺るがない。ただし、今オフにFAとなるレンタル色の強い存在でも、獲得にはシーハンら若手を含む大きな代償が必要になる見通し。スクバル本線の裏で、代替ルートの確保も欠かせない。
その筆頭がライアンだ。今季16試合で5勝3敗、防御率2・99、99奪三振。派手さはスクバルに譲っても、故障に揺れる先発陣に安定をもたらす即戦力になり得る。救援ではチャプマンが22登板で防御率0・83と健在。16年カブス、23年レンジャーズと、途中加入したチームを世界一に押し上げてきた〝勝利の使者〟でもある。フィネガンは防御率2・02の一方で制球面に危うさを抱えるが、終盤を任された経験は魅力だ。
スクバル獲得が本命視されるからこそ、ドジャースの怖さは一つの選択肢に閉じないところにある。大物左腕で仕上げるのか、別ルートで投手層を厚くするのか。3連覇を狙う王者の期限前市場は「獲る」「獲らない」の着地点を超え、どこまで盤石にするかの勝負へ移っている。













