売るのか、買うのか。迷走するメッツの現在地が、また浮き彫りになった。米メディア「ヘビー」は18日(日本時間19日)、ニューヨーク・メッツがデトロイト・タイガースのタリク・スクバル投手(29)を今オフのFA市場で獲得する可能性が浮上していることを報じた。

 メッツは同日時点で34勝41敗。ナ・リーグ東地区の最下位に沈み、8月3日午後6時(日本時間4日午前7時)のトレード期限を前に、劇的な反転がなければ「売り手」に回ることが濃厚な立場だ。にもかかわらず市場最大級のエース獲りが話題に上るところに、この球団の方針の揺らぎがにじむ。

 前出のヘビーは、米メディア「ファンサイデッド」のザカリー・ロットマン記者による記事をクローズアップ。同記者はメッツのデビッド・スターンズ成本部長が先発投手への巨額投資に慎重な姿勢を取ってきたと説明している。しかしながらスクバルについては「チームの流れを変える存在」と評し、水面下でメッツが財布のひもを緩めようと再考しつつあるとも指摘した。実際にスターンズ体制で先発陣は不安定さを拭えず、今季もローテーションの信頼感を欠いたまま勝負どころを迎えている。

 スクバルは2020年にメジャーデビューし、今季はここまで8試合で3勝3敗、防御率2・81、49奪三振。通算でも145試合で57勝40敗、防御率3・06、938奪三振を積み上げている。5月に左肘の遊離体除去手術を受けたが、6月13日(同14日)に戦列復帰。来オフにFAとなる前に、健康面への不安を払拭できるかが争奪戦の焦点になる。

 メッツは昨オフにフレディ・ペラルタ投手(30)をトレードで加えたが、スクバルはさらに上の格とみられる。ロットマン記者も「正真正銘のエースを獲得せずに終わるわけにはいかない」と断じた。ただし、ここで皮肉なのは、今夏に戦力を切り売りする可能性が高い球団が、数か月後には超大物FAに突撃すべきだと論じられている点だ。

 勝負を諦めるのか、再建を急ぐのか、それとも金満補強で一気にねじ伏せるのか。メッツの名前がスクバル争奪戦で取り沙汰されること自体、チームの弱点だけでなく、編成方針の定まらなさまで映し出している。今のクイーンズに必要なのはエース以前に、まず一本筋の通った青写真なのかもしれない。