これは単なる制度改革ではなく、野球界の足腰を削り取る〝大ナタ〟にもなりかねない。米メディア「ヤードバーカー」は18日(日本時間19日)、大リーグ機構(MLB)と選手会による労使協定交渉で、機構側が提示した最新案がマイナーリーグ球界に「壊滅的な打撃」となり得ると報じた。焦点は、サラリーキャップ制をめぐる攻防だけではない。オーナー側はドラフト制度そのものにもメスを入れ、育成の土台を揺さぶる案を持ち出した。

 同メディアによれば、米スポーツ専門局「ESPN」のジェフ・パッサン記者が報じた内容として、MLB側は現行20巡目までのドラフトを12巡目までに縮小し、アマチュア選手の契約金総額もほぼ半減となる2億ドル(約322億円)規模に抑える案を提示したという。高校生をドラフト対象から外し、国内ドラフトの最低年齢を20歳、国際ドラフトを18歳とする構想も盛り込まれている。現在は16歳から国際フリーエージェント契約が可能で、その入口まで狭める形だ。

 表向きの理屈は「大学野球の強化」だ。MLB側は、大学生を中心とした制度にすることで、選手が教育と高度な育成環境の恩恵を受け、より早くプロ、そしてメジャーに到達できると説明している。NIL(肖像権使用料)の拡大で大学球界の環境が変わったとの主張もある。

 ただし、前出のヤードバーカーはこの説明を額面通りには受け止めていない。同メディアは、オーナー側の本音を「下部レベルのコスト削減」と見立てた。指名選手が減り、高校生の早期プロ入りが消えれば、ルーキー級など下部組織の必要性は薄れる。大学側が18、19歳の有望株をNILで抱え、育ててくれるなら、球団が自前で支払う育成費は抑えられる。投資を小さくし、回収を早めたい――。そう映るのも無理はない。

 近年、MLBはすでに多数のマイナー球団を削減してきた。今回の案は、その流れに一歩踏み込むものと受け止められている。ドラフト抽選枠を6から4に減らし、低収益球団や小規模市場球団に与えられてきた競争均衡指名も廃止する内容で、地方球団や若手選手にとっては逃げ道の少ない改革案だ。

 現行の労使協定は12月1日(同2日)に期限切れとなる。オーナー側は支出抑制につながるサラリーキャップ制を求め、選手会側は強く反発している。溝が埋まらなければ、1994年の選手ストライキ以来となる公式戦中止への懸念も現実味を帯びる。メジャーの華やかな舞台の裏で、未来のスターを育てる土壌が切り捨てられるのか。次の労使交渉は、球界の根幹を問う場になりそうだ。