名門のバットが湿り切り、ついにフロントの悲鳴まで漏れ始めた。近年まれにみる低迷にあえぐレッドソックスが、今夏トレード期限の米東部時間8月3日午後6時(日本時間4日午前7時)を前に、買い手ではなく「売り手」に回る現実味を帯びている。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は、17日(同18日)にレッドソックスが本拠地フェンウェイ・パークでブルージェイズに0―3で敗れ、3連敗を喫した惨状を「新たなどん底」と報じた。

 負け方も重い。レッドソックスは7安打、7四球で走者を出しながら、最後まで本塁が遠かった。得点圏では12打数無安打。13残塁の拙攻で、ブルージェイズには2連敗となった。これで29勝42敗。勝率5割から13ゲームも沈み、球団内外の期待を裏切るドロ沼から抜け出せない。

 問題の核心は、偶然の沈黙ではなく慢性的な貧打にある。71試合で279得点はメジャー最少。本塁打は59本、四球も209で、いずれもメジャーで2番目に少ない。四球を選べず、長打も出ない。結局、単打を何本もつなぐしか得点ルートがないが、その肝心の連打も続かない。これでは、もらった好機さえ自ら握りつぶしているようなものだ。

 主力のロマン・アンソニー外野手(22)、ギャレット・クロシェ投手(26)を欠く事情はある。それでも、この戦力で5割を13ゲームも下回る低空飛行は弁解しにくい。記事は、サム・ケネディ社長兼CEOが試合前に地元局「NESN」で語った言葉にも注目した。同氏は、主力放出に踏み切る可能性について「選手を売却する可能性は残酷だ」と嘆き、「我々はこれまでそのような状況に陥ったことはほとんどない」と苦渋の表情をにじませた。

 ただし、感傷だけで期限は待ってくれない。ケネディ氏は「トレード期限が近づけば、組織にとって最善の策を講じなければならない」とも明言。「特定の個人ではない。フロントオフィスでも選手でも幹部でもオーナーでもない。組織にとって最善の利益となることをしなければならない」と、非情な決断を否定しなかった。

 開幕前の期待を考えれば、名門が白旗を掲げる展開は「本当に考えられないこと」だという。だが、打線に復調の兆しは乏しい。フェンウェイの熱気が冷める中、レッドソックスはポストシーズン争いではなく、誰を差し出すかを数える夏へ追い込まれつつある。