プロレス界に大きな衝撃が走った。新日本プロレスは27日、2012年1月から親会社となっていたブシロードが、保有していた株式をテレビ朝日とサイバーエージェントに譲渡することを発表した。今後はテレビ朝日の連結子会社として新体制を発足する見込み。棚橋弘至社長(49)はブシロードの木谷高明社長(65)への感謝の言葉を口にするとともに「世界一のプロレスリングカンパニー」を目指す意思を受け継ぐ決意を明かした。

 新日本はこの日、3社による株式譲渡契約の締結を報告。テレビ朝日の連結子会社となる予定を発表した上で、主催大会や各種事業についての変更予定は現時点でないと発表した。

 ブシロードの木谷社長は株式譲渡について「新日本プロレスが今後さらにグローバルで飛躍し、黄金期を続けていくためには、これまでに蓄積された映像資産の最大活用と、強力な配信プラットフォームを軸とした多角的な収益化ビジネスへの進化が不可欠」とした上で「これ以上ないベストオーナーのもとへ未来を託すことが最善であると確信いたしました」と説明。譲渡金額は約36億円とされている。

 ブシロードは2012年1月、当時の親会社ユークスが保有していた全株式を5億円で譲渡され新日本を子会社化。木谷オーナーのもと積極的な広告宣伝費の投入、メディア露出の増加、動画配信サービス「NJPW WORLD」の開始などで新たなファン層を獲得し団体人気をV字回復させた。

 今回の件に関する記者会見などの予定はなく、関係者やファンにとっては電撃的な発表となった。棚橋社長は本紙の取材に応じ、まずは14年以上にわたって支えられてきた親会社への感謝を口にした。「ブシロード体制になって、それまで選手個人レベルではなかなかたどり着けなかった山手線の車内広告だったりの初期投資は本当にありがたいことでした。知らない人にもプロレスを見てもらったら好きになってもらえるという自信もありましたから。木谷さんの言う『はやっている感』を出すために露出を一気に増やせたのは大きかったですね」

 発表に際して木谷オーナーから棚橋には「14年間、僕ができることは全部やれたかな」という言葉もあったという。棚橋は「僕としては感謝しかないので。14年前に木谷さんが記者会見で言った『世界一のプロレスリングカンパニーを目指す』という思いは僕が引き継ぎますよ。世界一の社長になることが、社長・棚橋弘至を生んでくれた木谷さんへの恩返しだと思ってます。これから僕が絶対もっと大きくして盛り上げますので、気にかけて見ていただければと思いますね」とキッパリ。23年末にオーナーから直接打診されて就任した新日本の社長として、さらなる飛躍を約束した。

「新日本プロレスが何で形作られているのかと言えば、やっぱり人なんですよね。今回ブシロードグループを離れるわけですけど、レスラー・スタッフはいるわけなので。モチベーション的には今まで通り、今まで以上の新日本プロレスにしていく自信はあります」。今年1月4日東京ドーム大会で現役を引退し、社長に専念した矢先に待っていた大変革。100年に一人の逸材が、団体を新たなステージに導く。