新日本プロレス7日の後楽園大会で、タイガーマスクが31年のキャリアに終止符を打った。引退試合では代名詞のタイガースープレックスで勝利を収め、セレモニーにはプロ野球・巨人の元監督でオーナー付特別顧問の原辰徳氏(67)らが来場。さらには師匠の初代タイガーマスクとの最後のロックアップまで実現した。永遠のヒーローの引退の裏にあった師弟の物語とは――。
4代目として戦い続けたタイガーは引退試合で、ダイナマイト・キッドの甥トム・ビリントン(AEW)、ブラック・タイガーIVとそれぞれ5分1本勝負で対戦した。ビリントンとは時間切れ引き分けに終わったが、黒虎とは延長戦の末に猛虎原爆固めで勝利し有終の美。セレモニーには原氏を筆頭に豪華な顔ぶれがそろい、ねぎらいの花束を贈られた。
ハイライトは最後に登場した師匠の初代虎だった。「最後にどうしても先生とロックアップがしたい」とタイガーが要請すると、パーキンソン病などで闘病中で車いすに乗る機会の多い初代虎がまさかのタイガーステップまで繰り出し、会場のファンから大歓声が巻き起こる名シーンとなった。
大会後に取材に応じた初代虎は「よく頑張った。タイガーマスクをまっとうしてくれてありがとうと伝えたいですね。31年一筋にやってきてくれたこと、アイツのプロレス人生を最後まで送ってくれたことに感謝します」と弟子にねぎらいの言葉を送った。さらに感動を呼んだタイガーステップについては「やったら付き合ってくれると思ったんですけど、付き合ってくれなかったので…ガクッときました」と冗談めかした。
タイガーによれば、初代虎はずっとこの日の大会に来場し、リングに上がることを目標にしてきたという。初代虎の発言を伝え聞くと「ビックリしたよ、あんなこと(タイガーステップ)してくれると思ってなかったから…。もうね、そこまで先生が昔のような冗談を言えるようになったのが、何よりもうれしいですよ。感激ですよ。あんなの俺も考えられないし、ファンだって考えられないでしょ。最高の引退祝いですね」と、師弟の絆が生んだ〝奇跡〟に感無量の表情だ。
引退後も新日本所属として芸能活動などを続けていく。「やっぱりタイガーマスクは永遠のヒーローなんですよ。戦わなくなったとしてもそういうものは伝えていきたいし。僕ができる社会貢献はいつでもしていきたいですね」と目を輝かせた。
一方で現在7代目まで存在するタイガーマスクで、レスラーとして活動しているのは4代目まで。初代虎がデビューした1981年4月から今日まで続いた系譜は途絶えてしまうことになる。タイガーは「プロレス界からタイガーマスクがいなくなってしまうのは僕としても残念というか。一つのプロレスの時代が終わったのかなっていうのは自分で思いますね」と感傷に浸りつつ「佐山先生を抜けるくらいのインパクトを持った選手がやるんだったら、それはいいんじゃないかなと思うし。ただ、僕の中ではあの人は100年に一人の逸材だから。そんな人が現れるかは分からない」と複雑な胸中を明かした。
しかし、初代虎は〝後継者問題〟について「絶対に現れます。そういうようになるようにいいプロレスを作っていきたいと思います。タイガーマスクは永遠に不滅です」と明言。弟子が31年間も走り抜けたバトンを受け継ぐレスラーの登場を確信しているという。
いずれにせよ、初代虎直系の弟子として誕生した4代目タイガーは、その大きすぎる役目を完遂した。偉大な師匠の思いを背負い誇り高く戦い続けたその姿は、間違いなく永遠のヒーローだった。














