采配の妙で〝0・00の壁〟を打ち破った。セ首位の阪神は3日の巨人戦(甲子園)に3―2でサヨナラ勝ち。貯金を「12」まで増やし、2位・広島を今季最大の5ゲーム差に突き放した。
最後に藤川球児監督(44)のタクトが冴え渡った。同点の9回に対峙したのは、開幕から32試合連続無失点のリーグ記録がかかっていた無敵の守護神・マルティネス。現役時代に今でも輝く38試合連続無失点を成し遂げた虎将も「そんな簡単じゃない」という場面を〝火の玉采配〟で打開した。
先頭打者の森下が中前打で出塁すると、すぐさま代走・植田を起用した。「試合に最初から出なくても、試合前練習から実戦を意識して取り組んでいる。素晴らしいことですよ」。猛虎屈指の俊足を送り込み、相手バッテリーにジワジワとプレッシャーをかけていった。
その策はすぐさま的中した。植田の機動力を警戒したマルティネスのけん制球を、途中出場で一塁守備に就いていた中山が捕り損ねて走者を二塁に進めた(記録は中山の失策)。さらに、佐藤輝の申告敬遠、大山の投手強襲の内野安打で無死満塁のチャンスをつくると、藤川監督はここでも大きな決断を下した。
打席を迎えたのはこの日、2併殺と見逃し三振と攻撃面ではいいところがなかった豊田寛外野手(28)。代打を送ることも考えられる場面だったが、指揮官は動かなかった。「このままいこう」。そうさせたのは、2点ビハインドだった5回の好守備だった。一死一、二塁のピンチで坂本が放った左前打を捕ると豊田は本塁にワンバウンドで好返球。二塁から生還を狙った泉口をタッチアウトにし、追加点を阻止していた。
そして、指揮官のゲキに応えるように豊田は巨人をBクラスに突き落とすサヨナラ犠飛。藤川監督は「我慢強く、ホームを刺して自分が出るんだということを示し続けた。野球の神様が最後の打席を与えたんじゃないですかね」とたたえた。
戦況を見極めながら選手を信じた起用もハマり、鉄壁守護神を打ち砕いた藤川虎がいよいよ独走態勢に入りそうだ。












