阪神は29日のヤクルト戦(神宮)に6―0で快勝。交流戦明けのカードで勝ち越しを決めた立役者の一人は「6番・左翼」で先発出場した前川右京外野手(22)だった。

 31試合ぶりのスタメンで4得点を挙げた5回の攻撃では中前打を放ち、一死二、三塁の場面では伊藤将のスクイズで本塁にヘッドスライディング。気迫を前面に押し出したプレーで存在感を示したが、実は藤川球児監督(44)から一度は〝レギュラー失格〟の烙印を押されていたという。

 前川は2年連続で開幕スタメンを勝ち取り、今季は「6番・左翼」の座をガッチリとつかんだかのように思われた。3、4月は打率3割をキープしたが、5月に入ると14試合で打率9分3厘と急降下。5月22日には一軍登録を抹消され、その間にチームは左翼手の森下、右翼・佐藤輝の布陣で戦い、指揮官も固定する意向を示していた。

 その間、前川はウエスタン・リーグの13試合に出場して打率3割9厘。格の違いを見せつけたものの、交流戦が始まっても一軍に呼ばれることはなかった。そして、DH制が採用される13日からの楽天3連戦(楽天モバイル)を前に、前川が平田二軍監督にとうとう〝直訴〟したとの情報もあった。

 それでも一軍からのお呼びはかからなかったが、17日のロッテ戦(甲子園)から再昇格。その後は代打だけで5打席を与えられ、1安打と巻き返しをアピールするために十分とはいえない機会だった。

 OBの一部では「藤川監督の好みは守備力が高く俊足の選手。前川は監督の求める野球にフィットしていない」ともささやかれた。とはいえ、昨季は自己最多の116試合に出場して打率2割6分9厘、4本塁打、42打点。レギュラーに近づいた若虎の出場機会を限定することに「もったいない」との声も少なくなかった。

 試合後の前川は「一度逃したチャンスだったんで逃したらダメだなと。(安打が)1本出たのはよかったですけど、目立った活躍しないと。そういった面では足りなかった」と目をギラつかせた。ストロングポイントは打力。打ちまくって〝イバラの道〟を切り開く。