セ首位の阪神は1日の巨人戦(甲子園)に2―1で競り勝ち、3連勝。広島が引き分けたため、2位とのゲーム差も今季最大の4に広げた。側頭部への打球直撃で約1か月、登録を抹消されていた石井大智投手(27)も戦線に復帰し、今季18個目のホールドをマーク。勝負の後半戦へ向け、投打で充実した陣容を整えつつある猛虎だが、その背景には藤川球児監督(44)の緻密な〝故障履歴リスト〟管理が存在していた――。
指揮官が「チームの心臓」と位置づける自慢のブルペン陣。その中でも特に「とっておき」の一枚が甲子園に帰ってきた。2―1と僅差リードの8回にセットアッパーとしてコールされたのは、この日「脳振とう特例」からの抹消を経て一軍登録されたばかりの石井だった。連打を浴び二死一、三塁のピンチこそ背負ったが、門脇を左飛に仕留め、1イニングを無失点で切り抜けた。
藤川監督は試合後、石井の復帰について「かなり前からプランを組んで、この日の巨人戦に照準を合わせていた」と明かす。オールスターブレークまでの残り17試合は、勝負の後半戦に向けた戦力の再整備期間。慎重を期した上での右腕のカムバック成功は、これ以上ないプラス要素だ。
頭部への打球直撃という不可抗力なアクシデントで石井の長期離脱を余儀なくされた阪神だが、それ以外の主力選手の故障トラブルとはここまでほぼ無縁。開幕前から「ケガなく、健康に」と呪文のように繰り返し唱え続けてきた藤川監督も、選手たちの無病息災をただ祈っていただけではなかった。
指揮官に就任してすぐ、チームスタッフたちに指示したのは各選手の「故障履歴リスト」の作成および提出だ。「誰が」「いつ」「どの部位」を「どの場所」で痛めたかを徹底的に洗い出し、その情報を秋春のキャンプのトレーニングメニューなどに反映。例えば人工芝のフィールドで故障歴のある選手がいれば、春季キャンプ中のアップの場所を室内練習場(人工芝)から屋外グラウンド(天然芝)に変更させるなど、細やかな配慮が徹底されていた。
「アメリカなら負傷者を出した時点で、担当スタッフは解雇されますから」と語る藤川監督。シビアな契約社会でもある米球界で培った現実主義と合理性は、これまでの阪神にはなかった新たなエッセンスとして、チームに確実に浸透しつつある。












