虎の子の1点を守り切った。セ首位の阪神が2日の巨人戦(甲子園)で1―0の零封勝利。伝統の一戦に連勝し、2カード連続の勝ち越しを決め貯金を「11」とした。

 森下翔太外野手(24)の〝神走塁〟が光った。両軍無得点で迎えた8回二死一、二塁の場面で大山が放った遊ゴロが大きくイレギュラー(記録は安打)。相手遊撃手の泉口が打球を左肩に当ててはじく間に二走・森下はホームへ激走。カバーに入った二塁手・吉川が本塁に送球し、タイミングはアウトに見えた。

 だが、森下は捕手・甲斐のタッチを1度かいくぐり、本塁後方に倒れ込みながらもホームへ再び突入。本能的に左手を引いて甲斐のタッチを避け、体を反転させつつキャッチャーマスクで背中を強打しながらも右手でホームプレートに触れた。

 一度は山本貴球審もアウトの判定を下したが、藤川監督がリクエストを要求。映像を確認した結果、判定が「セーフ」に覆り決勝点が入った。森下も自ら発動した〝神の右手〟について「本当に1点ゲームだと思ってたんで。もう一瞬で必死でした」と振り返った。

 この1勝は「令和野球のたまもの」といえる。ほんの少し前までの時代であればコリジョンルールもなく、森下は本塁でブロックされ「アウト」になっていただろう。

 さらにいえば、審判が一度「アウト」と判定すれば覆ることは皆無。今のような厳格なルールがない中で判定が覆れば、両軍監督による猛抗議の応酬から乱闘騒ぎにまで発展していた可能性もある。ただ、ルールもバージョンアップされたこの日はリプレー検証の結果に抗議した巨人・阿部監督が退場というオチがついた。

 2005年9月7日の中日戦(ナゴヤドーム)では当時の阪神・岡田監督(現球団オーナー付顧問)が自軍に不利な判定を受け、審判に猛抗議。ナイン全員をベンチに引き揚げさせたこともあった。あわや没収試合だったというエピソードも今や昔。令和の藤川阪神は「コリジョン」、そして「リクエスト」と新時代のルールにアシストされ、価値ある白星を手に入れた格好だ。

 この1勝がペナントレース終盤で大きな意味を持つことになるのか。行く末は読めないものの、現代野球のルールを利した勝利で阪神がガッチリ首位をキープした事実は変わらない。