「窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)む」という、ことわざもあるだけに注意は当然か。日本ハムは12日の中日戦(エスコン)に3―1で快勝し、連勝を新庄政権下最長の「8」に伸ばした。交流戦の最終盤で投打がかみ合い、優勝争いにも踏みとどまる価値ある1勝。ただ、この日の白星は単なる〝取りこぼし回避〟ではない。12日から始まった中日との3連戦を前に、チーム内には最大級の警戒感が漂っていた。
相手の中日はセ・リーグ最下位に沈み、借金も「19」。今季交流戦で阪神、ヤクルトの上位陣を相手にいずれも同一カード3連勝を果たした日本ハムにとって、数字上は恐れる相手ではない。しかも新庄剛志監督(54)が指揮を執って以降、対中日戦はこの日まで計12試合で10勝2敗。過去4年すべてカード勝ち越しとあれば、まさに〝お得意さま〟と言っていい。
それでも指揮官の表情は緩まなかった。試合前から新庄監督は「(中日には)勝ってますけど…。不気味と言えば不気味ですよね」と真顔で口にし、ナインの一人も「相手チームの状態が悪くても、何が起こるか分かりませんから」と気を引き締めていた。ソフトバンク、西武の結果次第では交流戦優勝の可能性も残る状況。だからこそ、下位チーム相手の1敗は致命傷になりかねない。
警戒の理由は、相性や順位表だけでは測れないところにもある。球団関係者は「ウチの中日さんへの相性はいいですが、それ以上に怖いのは相手の立ち位置です。リーグ最下位で借金もかなりある。そうなると選手はチーム成績だけでなく、個々の成績を上げようと躍起になってくる。そういう時の選手はモチベーションが高まり、普段以上の力を出すこともある。新庄監督もその辺りをくんで警戒しているのでしょう」と明かす。
チームが低迷していても、個々の選手の牙まで抜けているわけではない。むしろ失うものが少ない相手ほど、開き直ったひと振り、一球が流れを変える。日本ハムにとって中日は相性抜群の相手であると同時に、交流戦Vを逃す落とし穴にもなり得る存在だった。
そんな危機感が、この日の集中力につながったのだろう。日本ハムは序盤から主導権を握り、5回には勝ち越しに成功。投手陣も最少失点で踏ん張り、勝利をつかんだ。試合後、新庄監督は広報を通じて「明日も選手がやってくれるでしょう」とコメント。慢心を封じ、白星だけを積み上げる新庄ハム。この気概と勢いなら、交流戦Vもいよいよ現実味を帯びてくるかもしれない。












